2018年10月25日木曜日

「有給休暇」は人の目が気になる? もしもの時の貯金?


厚生労働省がおこなった2018年の「就労条件総合調査」の結果によると、2017年の年次有給休暇の取得率は51.1%とのことでした。
3年連続で増加していますが、政府は2020年までに70%とする目標を掲げており、未だ大幅に下回った状況です。

この話と関連して、最近目にしたある記事に、グローバル企業の本社の人事担当から、「“日本はなぜこんなに休みが多いのか?”とよく聞かれる」という話がありました。
それは祝祭日の日数のことだそうで、日本は現在が16日なのに対し、イギリスの8日、アメリカやドイツの10日、フランスの11日、イタリアの13日など、先進国の中でも多いそうです。

この祝祭日と有給休暇を合わせた休暇日数合計は、フランスやスペインが39日など、やはり欧州各国が上位を占めており、日本は27日とランキングの中位で、米国の24日、シンガポールの25日、韓国の17日を上回っています。
意外に休んでいないのがアメリカで、有給休暇の付与日数が19日で、この消化率は7割以上あるようですが、祝祭日が日本より少ないことで、この結果になっています。

ここから見ると、日本もそれなりに休んでいるといえますが、有給休暇の消化率に限れば、他国がおおむね70%超から100%の状況からみて低くなっています。
日本の場合、どうも独自判断で休むのが苦手のようで、本来は非効率と思える一斉休みの祝祭日も、日本の現状からすれば、今のところは合っているように思えます。

この有給休暇について、もう少し調べてみると、消化率の低さにはいろいろな原因が挙げられていますが、私の目についたのは二つのことでした。
一つは、ある調査で「有給休暇の取得に罪悪感を持つ人」を調べたところ、アメリカは33%、フランスは22%だったのに対し、日本は59%と過半数を超える人が、会社や同僚から反感を買わないかを気にしていました。韓国の69%に次いで多い数字です。
私個人の感覚では、最近はしっかり休みを取る人が増えてきたと思いますが、会社の雰囲気次第というところも、まだまだ多いのかもしれません。実際に人手不足の業種も多いですし、休みづらい人が大勢いるのは確かでしょう。
ここからすれば、来年4月から始まる「年5日の有休取得義務付け」は、それなりの効果はあるのではないかと思います。

もう一つは、自身の病気や体調不良、その他もしもの時のために、「休暇を使わずに貯めておく」との風潮があるというものです。確かにそのおかげで、数カ月の入院を有給休暇だけでしのいだ人を見たことがありますし、数日くらいは休んでも大丈夫なように休暇を残すのは、多くの人がやっていることです。「日本人は貯金好き」で、お金が投資などに回りづらい話と、多少の共通点も感じます。
これは、長期の病欠などのセーフティーネットがあれば良いはずで、実際に傷病手当金などの制度もありますが、こればかりは国民性で、全員がすべての休暇を使い切るまでになるのは、当分難しそうな気がします。

ここまで見てきて思うのは、あまり有給休暇の消化率ばかりにこだわっても仕方がないのではないかということです。休みの取り方は、その国の事情によって様々です。
本来の主旨は、過重労働にならない、仕事とプライベートが両立できるなど、「誰もが働きやすい環境作り」です。そのためにどんな方法が良いのかは、これからも考え続けなければならないと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿