2018年10月4日木曜日

タイガーウッズ選手復活の理由に「コーチ選びの成功」があったという話


米男子プロゴルフツアーで、タイガーウッズ選手が4度の腰の手術を乗り越えて、5年ぶりの復活の優勝を果たしました。

この復活の最大の要因として、自身のコーチ選びに成功したという記事がありました。4年前に契約したコーチは全く無名の人で、一部のプロやメディアでは、その理論やノウハウに懐疑的な人たちもいたようです。

記事によれば、「低迷したゴルファーがコーチに指導を依頼すること」には、二通りのパターンがあり、一つは「何かを変えたいとき」で、自分でがんばってみたがうまくいかず、指導者に助けを求めるパターンで、もう一つは「課題をクリアするために必要なものを取り入れるため」で、自分の現状分析から進むべき道を理解し、そのために習いたいことをコーチに求めるパターンとのことです。

前者は現状分析ができていないので、コーチの人選を適切に行なえていないことが多く、「実績がある」「知り合い」「人柄がいい」など、技術的なマッチングを考えずに、依頼してしまいがちだそうです。
それに対して後者では、自分の進む方向が明確であることから、必要な技術を持った適切な指導者が選択できるのだとしています。

タイガーウッズ選手の場合はまさしく後者で、「自分の特性を生かした、体に負担をかけないスイングの確立」というビジョンのもとで選んだコーチが大きな役割を果たしました。
コーチの指導力以上に、選手側の人材登用のスキルが鍵だとされていました。

この現状分析とそれにあった人材登用というのは、私もいろいろ思うことがあります。
例えば、私たちのようなコンサルタントには、著名で実績豊富な人が数々います。ただ、その人に頼めばすべて確実にうまくいくかというと、決してそうではありません。その会社の様々な状況や課題の内容によって結果は違いますし、コンサルタントが持つ経験やノウハウと、その落とし込み方など、性格だけではない相性があります。

世間で評判がいいシステムを入れたのに、仕事の効率がなかなか上がらない会社や、他社で成功した仕組みや制度を取り入れたのに、必ずしも良い形にならない会社は、私も今まで数多く見てきました。だいたいがオーバースペックであったり、ブランドに目がくらんでいたり、自社の特徴や事業内容からずれていたりします。

そんな中でこのコーチ選びの話を当てはめると、うまくいっている会社は確かに現状分析が的確で、ブランドばかりに左右されず、自社に合った制度や仕組みを選択します。コンサルタントのアドバイスにも、まずは素直に取り組んで、その後の相談も多いです。

これに対してうまくいかない会社を見ていると、どこかの本で読んだり、人から聞きかじってきた流行りの制度を導入したり、ブランドや過去実績といったものに流されがちです。コンサルタントのアドバイスも、自分たちの意見で是々非々で取り組むと言えば聞こえは良いですが、その選択に一貫性が感じられないことが多々あります。「やるべきこと」というよりは「やりやすいこと」であったり、「自分のツボにはまったこと」であったりします。要は現状分析ができておらず、進むべき方向が見えていないということになるのでしょう。

タイガーウッズ選手のようなトップクラスの人は、現状と進むべき方向の見極めが明確だということと、そんなトップクラスの人でも、スランプに陥ると、それができなくなってしまう場合もあるのだということ、さらに自分を客観視することがいかに大事かということを、この話から思っているところです。


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