2019年10月10日木曜日

業務連絡への「つながらない権利」の考え方いろいろ


IT技術の進歩で、お互いが時間や場所を問わずに、いつでも誰とでも「つながること」ができるようになりましたが、これらの技術革新に合わせて、仕事用の携帯電話やメールアカウントに、終業後や休日、自宅や外出先でも構わずに連絡が入る「勤務時間外の業務対応」が問題になっているといいます。
一度や二度は誰でも経験しているでしょうし、あまりにも頻繁で悩んでいる人もいるでしょう。

こうした事態を防ぐため、勤務時間外の対応を拒否できる「つながらない権利」の法制化が、欧米で広がっているそうです。
フランスでは、50人以上の企業に、従業員の「完全ログオフ権」という勤務時間外のアクセスを遮断できる権利を定めることが義務付けられました。
イタリアやアメリカの一部都市でも、同様の法律が施行されたり、審議が行われたりしているそうです。

ひと昔前は、業務連絡は会社の固定電話にされることが普通で、帰宅後や外出先まで追いかけられることはありませんでしたし、あまり良くはありませんが、居留守を使うこともできました。
しかし今は、モバイルデバイスの普及で、いつでも直接本人にアクセスすることができます。もちろん効率化などのメリットはありますが、その一方、仕事とプライベートとの境目はあいまいになってしまいます。

ここで、私自身のことで言えば、「つながらない権利」の必要性は、実は今まであまり意識したことがありません。理由は単純で、その権利行使が自分の自由にできているからです。

まず、独立事業者なので、そもそも細かい勤務時間の認識がありません。夜中でも日曜でも、自分が仕事時間だと思えばそうですし、逆に平日の日中でも、休みだと思えばそれですみます。
ですから、電話やメールの応答の仕方は、自分の判断で決めています。

大した用事でなくても夜遅くや休日に連絡してくる人はわりと決まっていて、そういう人からの変な時間の連絡は、あえて放置したりします。逆に普通は連絡してこないような人の場合は、緊急かもしれないと考えて折り返したりします。
私から連絡するときは、さすがに夜中に電話することはありませんが、翌日見てもらえばいいようにとメールをすることはあります。ただし、夜中に携帯が鳴ったりしそうなアドレスには送りません。

結構相手がどんな人かを見て対応していますが、そうしているとあまり非常識なことをされた経験はありません。ほとんどの人とは、お互いに相手の時間を尊重する考え方が、共有されているのだと思います。

経営者や事業主だからそういう振る舞いができるということはありますが、顧客との力関係によってはそうでない人もいます。過度な上下関係と個人のキャラクターが絡んでしまうと、「つながらない権利」が侵されてしまうようです。
さらに、会社の中の社員同士の関係の方が、遠慮のない上下関係は多いでしょうし、相手の時間を侵すことも、気にしなくなりがちかもしれません。

ただ、私の知り合いの企業勤務の人ですが、けじめの無さそうな顧客には自分の携帯番号は教えずに、何かあったら会社の対応窓口に連絡してもらうとか、メールも勤務時間内しか返さないとか、「つながらない権利」を自分のできる範囲で徹底している人がいます。
もちろん、会社の休業日や自分の休暇期間は事前に知らせますし、本当の緊急時は時間外でも対応しますが、そうしていると、顧客もそういうものだと思って適応してくれるそうです。どちらかというと、一部の上司など社内の方が面倒だそうです。
こうやって、自分のやり方次第で守れる部分はありそうです。

本当は法律などがなくても、お互い様でうまく落ち着くのが一番良いですが、ワークライフバランスの意識が高い諸外国でも法制化している様子を見ていると、日本の場合は一層それでは難しいかもしれません。
「つながらない権利」は、これからもっと考えていかなければならない課題になりそうです。


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