2019年10月14日月曜日

「出勤するか否か」は誰が決めるのか?


台風の大きな被害が明らかになるにつれ、被害にあわれた方々のことを考えると、本当に心が痛みます。少しでも早く、穏やかな日常に戻れるように祈っています。

そんな中で、台風が来るたびに話題になるのは、その日に「出勤するか否か」の話です。
ツイッターをはじめとしたSNSを見ていると、相変わらず「出勤して当たり前」という強制や、あえて何も言わずにプレッシャーをかける「無言の圧力」などの話が、たくさん投稿されています。

その一方、「休ませてほしい」と社長に連絡したら、「そんなの当たり前で連絡不要」「危ないから絶対に会社に来るな」と返されたなど、それが当然の会社の話もあります。

また、判断を社員任せにしていたら、結局ほとんどの人が出勤していたとか、会社は自宅勤務でOKと言うのに上司がそれを許さないとか、思いのほか出勤する者が多くて、もっと強制的に休暇を指示すべきだったと反省する社長の話とか、いろいろな話題がありました。

こういう時、いったい何が正解なのかを考えてみましたが、まず大前提は「不要不急の外出は避ける」ということです。
どうしても休めない仕事には、医療や介護の関係者、警察や消防、ほか自治体の災害対策担当者、公共インフラの保守関係などが思いつきます。公共交通機関の関係者は、仮に運休になっても、そのまま帰れなくなる感じかもしれません。
ただ、それ以外の仕事は、当事者が休むことに決めれば、基本的にはそれで済むことです。利用者の不便は一時的なものにすぎませんし、混乱が起きれば本当に重要な役割を担っている人たちの動きを邪魔してしまいます。多くの会社でリモートワークの環境があります。
台風、地震、大雪、その他自然災害では、「出勤せずに済ますこと」を優先して考えるのが好ましいでしょう。

こう考えた上で、出勤を強制して「ブラック企業だ」などと揶揄されていた会社で、そういう姿勢を取っているのは、ほとんどが経営者か管理者です。社員の立場で、社長や上司の姿勢を無視するのは難しく、社員は出勤せざるを得なくなります。
「売り上げが落ちる」とか「顧客が困る」とか、理由はいろいろあるでしょうが、それらはどこかで相殺されてしまう、とるに足らないことで、やはり会社の姿勢は重要です。

また、「社員に判断を任せる」として、「出勤が難しければ在宅勤務に切り替えても良い」などの形で告知文書を出した会社は意外に多かったようですが、一見良さそうに思えるものの、企業風土によってはうまく機能しません。
あえて出勤することでの自己アピールを考えたり、他の人が出勤するという同調圧力があったり、顧客関係を気にしたり、「とりあえず出勤しておけば怒られることはない」といった考えもあるでしょう。
社員に判断を任せるのであれば、日常的に仕事の進め方を、自分で判断できるような風土づくりや教育をしておく必要があります。

ある社長は、台風当日と翌日を特別休暇扱いにして出勤自体を禁止していましたが、その理由を「もし自己判断で出勤してきて事故があっても、自分は責任が取れないから」と言っていました。本当にその通りだと思います。
戦時中の新聞に、「大空襲の翌日、生産関係者を除いた勤め人の通勤はやめさせて」という投書があったそうです。日本人全般が昔からそうなのかもしれませんが、「どんな時でも定時出勤」のマインドが変えられないのです。

「“出勤するか否か”を誰が決めるか」と考えると、特に「出勤しない」の判断は、本人任せでは難しい面があります。緊急時の判断は、会社が「出勤不要」「自宅待機」などと、明確に指示すべきだと思います。

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