2020年2月20日木曜日

すぐ「世代のギャップ」という中高年男性たち


社内コミュニケーションは、どの会社でも何かしらの課題がありますが、うまくいかない理由を聞くと「世代のギャップ」と言われることがあります。これを持ち出すのは、ほとんどが40代後半以上の中高年男性で、私と同世代にあたる人たちです。

最近もいくつかの会社で、社員の方々から情報共有やコミュニケーションに関する課題をヒアリングしている中で出てきました。
はじめのうちは自分の原因も話に出ますが、徐々に本音が出てきて「価値観が違う」「話が通じない」「常識がわかっていない」などと言い始め、その理由は「世代のギャップ」となります。
自分たちは「気をつかっている」「働きかけている」「歩み寄っている」と言い、それに対して相手が乗ってこないそうです。「世代のギャップ」が原因なので解決しようがなく、「もうあきらめている」などと言います。しかしそれでは困ります。

そもそも、本当にそれは「世代のギャップ」が原因なのでしょうか。私はその人たちとは同世代ですが、決してそればかりではないと思っています。世代の違いは確実にありますが、それ自体がコミュニケーション問題の原因ではありません。

みんながみんなではありませんが、「世代のギャップ」を言い出す人には、私から見るとある共通点があります。
一つは「相手への過剰な期待」です。「これくらい言わなくてもわかるだろう」など、自分と同質の価値観や、ともすると「あうんの呼吸」を求めています。
しかし相手とは年令差があり、確実に価値観は違います。そこで「これくらい常識」「言わなくてもわかるだろう」と考えること自体に無理があります。
言うべきことを言わずに済ませて、その結果「通じていない」「理解していない」とイライラしています。これは世代にかかわらず、他人には自分の考えを、言葉に出して言わなければ伝わりません。
伝える工夫や努力をしている人の場合、「なかなか伝わらない」「伝えるのが難しい」とは言いますが、それを世代のせいにはしません。他人と自分の考えは違うのが前提だからです。

もう一つは「本人の姿勢や態度」の問題です。特に気になるのは、これを言う中高年男性は、みんなどことなく不機嫌そうに見えることです。
このことが相手を何となく威圧していて、できれば触れたくない、最小限の話で済ませたいと思わせてしまい、その結果コミュニケーション不足が起こっています。特に男性の場合、年令を重ねると普通にしていても不機嫌に見えるそうです。

私は同世代なので、若い人ほどには感じませんが、特に「世代のギャップ」を言う人は、顔を合わせた当初から、何だか不機嫌そうに見える人が多い気がします。話すと全然そんなことはないので、もったいないと思いますが、やっぱり若手からすれば、不機嫌そうなオジサンにあまり関わりたくないと思うのは当然です。

さらに、若手がちょっと勇気を出して話してみても、一方的に自分の話ばかりされたり、やけに押しが強かったり、根掘り葉掘りどうでもいいことを質問されて、とても面倒だったりします。
年長者からすれば、たぶん親密度を高めたいがゆえの雑談なのでしょうが、相手は事務的な確認だけできればよいと思っていたとしたら、そんな余計なやり取りはわずらわしいだけです。
相手との距離感のとらえ方や、その場に応じた話題作りが適切でないのです。

話題作りや距離感は、すぐにどうにかするのは難しいですが、それ以外のことは意識すればできます。
「伝えるべきことは、口に出してきちんという」「いつも機嫌よくしている」の二つのことです。
「察して動く」のは相手を深く理解しないと難しいですし、「不機嫌な人」には近寄りません。これを変えるだけで、コミュニケーションの問題は結構解決されます。

何かにつけて「世代のギャップ」を理由にする人は、外国人に対しては「文化の違い」といい、女性に対しては「性別の違い」と言います。「うちの会社は他社とは違う」などと言い出すのも似たようなことでしょうが、「異なる価値観は受け入れない」と言っているようなものなので、たぶん変革が進められない会社です。

もちろん若手の側にも問題はありますが、年長者の方がより経験豊富で、対応できることが多いはずです。
「世代のギャップ」も「価値観の違い」もあって当たり前、それを埋めるのがコミュニケーションなのです。


0 件のコメント:

コメントを投稿