2020年2月24日月曜日

「期待」の感じ方いろいろ


ある会社でこんな話を聞きました。
社員教育に力を入れる必要があると考えて、その会社では様々な研修の実施回数を増やしているそうです。

「いつ誰がどんなテーマで受講するか」といった細かな決まりはなく、俗にいう教育体系といったものはまだ整備されていないため、研修の受講者はその都度会社から指名しています。
テーマやその人の受講頻度、外部研修であれば受講料の金額などを考慮し、できるだけその社員の仕事に役立つように、社員間で不公平にならないように配慮をしているそうです。

そんな中で、社員からはこんな二通りの反応が見られるといいます。
一つは「なんで私が」「面倒くさい」「受けたくない」というネガティブな反応です。これは社員が受講するテーマを選んでいる訳ではないことや、そもそも社員研修というのは、何かしら強制されている感覚を持たれがちなことがあり、似たような反応は他の会社でもよく見られることです。

もう一つは、その正反対と言っても良い「自分は選ばれた」「会社に認められた」というポジティブなものだそうです。私はあまり経験したことがない反応ですが、これまで社員研修が少なかったことによる新鮮な気持ちと、そのことにも関連して、会社からの指名を「強制」ではなく「期待されている」と前向きにとらえています。

ある条件で受講する社員を会社が選ぶ選抜研修は、幹部候補といったくくりが多いですが、実施しているところは数多くあります。
ただし、そのメンバーに入ったからといって昇進が約束されたわけでじゃありません。どちらかといえば、これから出世を目指すためには受講しておかなければならない「義務」という反応です。後ろ向きではありませんが、そこまで前向きに「やるぞ」という人も多いとはいえません。

ただ、この会社の社員のように、「期待されている」ととらえて研修に参加してくると、やはり取り組み姿勢が違います。「一つでも身になることがあればいい」という程度でなく、多くの内容を自分に必要なことだと肯定的にとらえ、できるだけ多くのことを身に着けよう、持ち帰ろうとします。それは「また会社から指名してもらえるようにするため」ともいいます。

社員研修は、「会社が決めたものを受けてもらう」ということが多いため、どうしても強制感を伴いがちで、やる前から受講者が斜に構えているような状況もあります。しかし、この会社のように、少し前提条件や状況が変わると、それだけで本人のとらえ方も大きく変わることがあります。

周りから「期待されている」と感じることは、本人のやる気に良い影響を及ぼしますが、その感じ方はいろいろで、ちょっと仕掛けを変えるだけで良くも悪くも変わります。
そして、そこにつながりづらいように思える社員研修などでも、「期待」を伝える道具になりうるということです。

「期待」の感じ方はいろいろで、その伝え方にもいろいろ工夫する余地があることを感じます。


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