2020年4月6日月曜日

「在宅勤務」でかえってコミュニケーションが増えたという話 


新型コロナ対策で、私の周りにはほぼ100%在宅勤務という人が増えてきました。他の国と比較した実施率ではまだまだ低いという話もありますが、これを機に大きく状況が変わったことは確かでしょう。

在宅勤務をする上での大きな問題の一つに、「コミュニケーション不足」があるのは、誰もが認識していると思います。ただ、最近目にしたSNSへの投稿に、「リモートワークを始めてから、かえってコミュニケーションが増えた」というものがありました。
もちろんウェブ会議やチャットなどを通じてのものですが、例えばウェブ会議はほぼ毎日おこなっていて、出社していた時より、むしろ話し合いの頻度が増えているといいます。

私もこのところはほぼ在宅勤務状態ですが、この感じは何となくわかります。すべての人に当てはまる話ではないかもしれませんが、通常勤務と在宅勤務でいったい何が変わったのかを少し考えてみました。

投稿で挙がっていたのは、「調整することが多くて毎日話していた」というものでした。要は在宅勤務自体の経験が少ないのでいろいろ勝手がわからず、他の人との調整事項が多いということでしょう。業務を進めるうえで、必要に迫られての基本的な問題です。

ここからは私の個人的な感覚になりますが、一つに「ウェブ会議は意外に開催のハードルが低い」というものがあります。社内での会議というと、時間を決めて、会議室を予約して、スケジュール調整の上でみんなで集まって話すことになりますが、ウェブ会議では、この中の“場所”の調整がいりません。
同じ社内でも、もし拠点が分かれていたら「どこでやるか」という話になりますし、「会議室が空いていない」などの理由でスケジュールを見直さなければならないときもあります。

これがウェブ会議の場合、スケジュールさえ合えばすぐに開催ができます。さらに移動がないので、そのことへの面倒くささがありません。これは客先や拠点間での移動だけでなく、社内の会議室までのちょっとした移動も含みます。
「通勤がないことで、各自の時間に余裕がある」ということも感じます。他の人から急に呼び止められる、急に仕事を振られるなどの割り込みがないので、予定がクリアに見通しやすいことも考えられます。スケジュールそのものが調整しやすいのです。

もう一つは精神的なもので、「黙って仕事している時間が長く、誰かと話がしたい」という気持ちが強いのではないかということです。「寂しい」など、一人だけで仕事をする精神的な限界があるのでしょう。
そうなると、今までは面倒だった社内会議と違い、ウェブ会議でその時間帯に集中して話し合わなければならないので、参加意識の高さが違ってきます。もちろん、一人で作業する環境に慣れていて、全然平気な人もいるので、このあたりの感覚は人によって違うのかもしれません。
ウェブ会議では、議論がしづらい、表情がわかりづらいなどのデメリットを聞きますが、これには慣れの問題もあるので、もう少し経験しなければわからないこともあるでしょう。

これまでコミュニケーションの基本とされてきた「直接会って話す」ということは、その場所に出向かなければならないという制約がありますが、リモートワークになってから起こっていることを見ていると、そのこだわりがコミュニケーション頻度を下げている場合があったことがわかります。仕事上の事務的な話は、直接顔を合わせなくても意外に間に合うことが多い感じがします。

その一方、自分の気持ちや心の問題として、やはり人と会って話したいし、一緒に食事もしたいです。少なくとも私は、直接会って話さないと、本当の意味での良い人間関係が作れません。
直接会わなければわからないことは、仕事にかかわることでももちろんあります。会った時の印象で、「この人なら信用できそう」「いい人そう」「応援してあげよう」など、仕事を通じた関係作りにも、必ず理屈だけでなく感情がからんできます。今は直接会うことの大切さが身に染みています。

仕事のしかたが変わり、そこからあぶり出されてきたことがいろいろあります。今までとは次元が違う「働き方改革」が進んでいる感じがしています。


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