褒めて育てるのが良いとか、上司からの適切なアドバイスが大事だとか、それぞれ確かにその通りだと思いますが、私の知人にこの感じからはだいぶ離れた個性的なマネージャーがいます。
本人はたぶん計算などせずに、自分の素の感じでやっているだけだと思います。
部下を褒めることはほとんどなく、いつも淡々と事実を指摘し、「どうするか考えて」と投げかけます。声を荒げたり感情的になったりすることはありませんが、冷たいとか無表情という不快に思われるような感じではなく、ただ落ち着いて冷静に見えます。
このマネージャーは、「こうした方がいい」など、自分からアドバイスをすることもありません。聞いたことに対する意見を事実に基づいて言いますが、やっぱり「どうするか考えて」で終わります。
これだけでは、なんだか感じが悪い嫌われそうなマネージャーのように聞こえてしまいますが、部下からはとても信頼されているようで、このマネージャーの悪口はほとんど聞こえてきません。逆に「あのマネージャーと仕事をすると成長できる」「力がつく」などという者が大勢います。
その理由がなぜなのか、少し観察していて気づいたのは、かなりの頻度で自分から部下に話しかけていることです。雑談はほとんどなく、仕事上で「あれはどうなった?」というような話ですが、部下からの話を聞いて、「それをやったらこの結果になるよね」などと事実を指摘し、「どうするか考えて」「自分で考えてみて」で終わります。
たまに部下が「終わってません」「やってません」「忘れてました」などということがありますが、そのことは決して責めません。「どこまでできれば問題ないのか」「今からできる方法を考えて」と、その時点からの対処の仕方を、やっぱり「どうするか考えて」と言います。
部下たちはその場で考えを言うことも、しばらく時間をかけてから言うこともいろいろですが、マネージャーはやっぱり褒めもせず、アドバイスもせず、ただ事実をもとに意見を言います。
最終的に部下が「この方法でやってみます」「これで進めてみます」となると、「じゃあやってみて」となって話が一区切りになります。
部下から「うまくいった」とか「順調に進んでいる」といった報告がありますが、やっぱり褒めることはせず、ただ話を聞いていて意見があれば伝えています。
褒めもしないし大したアドバイスもしませんが、絶対に部下を放置せずに自分からコミュニケーションを取り、しかも部下を責めたり威圧したりすることは一切ありません。マネージャー自身がどこまで意識しているかはわかりませんが、部下の信頼を得ているのは、よく言われるようなうわべのテクニックではなく、こういった本質的な行動にあると思います。
褒めないし、アドバイスをしない人ですが、とても素晴らしいマネージャーです。
0 件のコメント:
コメントを投稿