以前のことですが、知人の研修講師が話していたことです
あるプロ野球チームの大ファンとのことで、年間で20試合近くは球場で観戦するそうですが、やはりチケットが手に入らないことも多々あるそうです。
この人がまだ研修講師になりたての頃、講義の初めの自己紹介では、必ず大のプロ野球ファンであることと、あるチームが大好きで追いかけていることを話していたそうです。そうしていると、年に数回は野球観戦に誘ってくれたり、チケットを回してくれたりする人が、誰か必ずいたといいます。
観戦しに行けることが本音でうれしく、その人には心からお礼を言って、都合がつく限りは観戦しに行っていたそうですが、そうしているうちに誘ってくれる人の数と、誘ってもらえる回数が徐々に増えていったといいます。その後は自分でチケットを買う以外にも数カ月に一回は必ず誘ってもらえて観に行けるようになり、時には貴賓席や年間シートなど、めったに入れないところで観ることもできたそうです。
「自分の性格や好きなことなどの素性を他人に伝えていると、それが相手の中にインプットされ、その人を介して自分にとってうれしいことや有難いことがどんどん増えて得することが多い」と言っていました。
この話には私もかなり共感するところがありました。ゴルフをするとかお酒を飲むとか、自分の性格や趣味、その他好みを周りの人たちに伝えていると、そのことに関して声をかけてもらえることが増えていきます。一度付き合いがつながると次も誘ってもらえるようになり、自分だけでは出入りできないところに行けたり、思いがけない人に会えたりということもあります。
私の場合は仕事でも同じことがあり、自分の仕事内容や専門性、パーソナリティーを知ってもらっていると、そこから仕事の相談や依頼につながっていくことがあります。リピーターや紹介というのも、これらと似た話だと思います。
これは様々なチーム運営の中でも、リーダーが自分の方針や価値観、考え方の基本をメンバーに伝えておくと、みんなの行動には一貫性が出てくるようになります。理念や指針といったものは、こちらの素性を相手に知ってもらうための発信であり、そうすることでそれに合わせた好ましい行動が増えます。
最近は価値観の多様化から、言わなければ伝わらない話が多くなっているので、きちんと言葉に出してコミュニケーションするリーダーが増えましたが、「これくらい常識」「空気を読め」「気を利かせろ」など、以心伝心やあうんの呼吸を求めるリーダーはまだまだ存在します。しかし、それでは必ずしも正確に理解されるとは限らず、仮に理解されたとしても、それまでには相応の時間がかかります。リーダーの側から意識して発信することが重要で、それによって仕事はスムーズに進むようになります。
「自分の素性を知ってもらえば、得することが増えていく」というのは、何が対象であっても同じことではないでしょうか。
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