たまたま見ていたある動画の中で、ツアー優勝の経験がある40才代の男子プロゴルファーが話していたことです。
ある試合の練習ラウンドで、20代の選手のグループとたまたま一緒にプレーする機会があったそうです。若いとは言ってもみんな優勝経験があるような実力者だったそうですが、一緒に回って感じたことが「余裕」だったそうです。みんなが穏やかに談笑し、冗談も言いながらプレーしている様子が新鮮で、もし同世代の選手だったらみんなしかめっ面の怖い顔でプレーしていたのではないかと思ったそうです。そんな若手選手の様子を見て、こういう「余裕」が最近の自分に欠けていた姿勢ではないかと思ったとのことでした。
練習ラウンドの目的は、コースの状況を知って試合でプレーする上で必要な情報をインプットすることです。それが達成できれば、別にダラダラしようがヘラヘラしようが関係ありません。しかめっ面や怖い顔は間違いなくその時の精神状態の現れなので、真面目、真剣、集中などというよりは、緊張状態であることの方が大きいでしょうが、変に緊張するとチェックが漏れたり確認が甘かったりするかもしれません。それはそもそもの目的が果たせないことにもつながります。
この選手が「自分に欠けていたかも」と思ったのは、こういう面での「余裕」を持った姿勢で、すでに実績がある若い選手から、この「余裕」をひときわ感じたということのようでした。
私はアスリートではありませんが、もし自分が仕事の場面で同じような場面に出会ったら、どう感じたのだろうかと考えてしまいました。もしかするとその人の様子だけを見て「緩んでいる」「不真面目」などととらえたかもしれないと思ったのです。
本来は「目的が達成されているか」が重要なはずですが、私を含めた上の世代の人間は、つい「取り組み姿勢」などの本質的でない部分に評価が引きずられがちなところがあります。「毎日遅い時間まで頑張っている」などというのはかつての典型ですが、それだけ時間を使っても成果が伴っていなければ、それ相応の評価がされなければなりません。
「神妙な表情で反省している」と見えても「何度も同じことを繰り返す」とか、「いつも忙しそう」に見えても「指示したものができていない」とか、他にも「仕事をしているふり」に騙されるようなことは、程度の差はあっても見かけることがあるものです。
先ほどの「余裕」なのか「緩み」なのかという話は、まったく同じ様子を見ていたにもかかわらず、とらえ方としては正反対です。これは長所と短所が裏表ということに似ていて、見る人の視点によってとらえ方が変わるということです。
これを「余裕」ととらえたベテランゴルファーは、本来の目的に照らして見たときにポジティブに感じたということであり、もし「緩み」ととらえる人がいたとすれば、それは目の前の振る舞いを見てネガティブに感じたということになります。どちらの見方がより本質的かといえば、やはり「目的に合っている」という視点から見た前者の方が合っているでしょう。
「取り組み姿勢「礼儀」「態度」「言動」といったことは確かに重要ですが、自分の価値観だけに当てはめてそればかりに注目していると、それが目的に見合っているのかなどの本質的な視点を失います。
それが「余裕」なのか、それとも「緩み」なのかといったその場の空気感に関するとらえ方は、そこで目指しているものや目的によって変わるということを、しっかり頭に置いておく必要があります。
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