先日のことですが、某大学の社会人向け講座で講演をしてきました。一応私の専門分野として、人事組織に関する昨今の一般的な事情がテーマです。
時節柄オンラインだったので、受講者の細かな様子まではわかりませんが、プライベートの時間を使って自分の意志でビジネスに関する事柄を学ぼうとしていて、週末の2日間を丸々講座の受講にあてているわけですから、学ぶ意欲が高い人たちであることは間違いないでしょう。
日本のビジネスパーソンは、学校を卒業した後はとにかく学ぼうとしないなどと言われてきましたが、最近はずいぶん様子が変わってきた気がします。
私の知人の専門家で、その分野の経験はとても豊富な人ですが、あらためて大学院で自分の専門分野を学び直すそうです。自分なりに経験と学びは積み重ねてきたものの、これから先も自分の仕事を続けていくためには、学問として基礎的なところから学び直す必要を感じたとのことです。大学院では入学試験があるので、かなり久しぶりに受験生となったところでの勉強が、とにかく大変だと言っていました。
私から見ると、どちらかというと教える側の立場ではないかと思えるくらいの人ですが、苦労しても謙虚に学ぼうとする姿勢は素晴らしいと思います。
最近の企業内研修で、特に若い世代の人は、何かを得ようと前向きに取り組んでくれることが増えました。以前はやらされ感が蔓延して、決して良い雰囲気とは言えない研修がときどきありましたが、そのあたりはずいぶん変わってきた感じがします。ただ、受けたくても忙しくて日程が合わずに受講できないなど、環境作りの部分ではまだまだ問題を感じることがあります。
それでもこんなテーマを取り上げてほしい、前向きに受講したいという人が増えているのは、かつての企業内研修の様子とは違って好ましいことです。
これは私が講義をしたところとは別の大学で、その学校の社会人講座では、もちろん会社の指示で来ている者はいますが、それよりは自分の意志で受講している人の方が多く、さらにその人たちの半分以上は会社に受講していることを伝えていないと言っていました。
理由は、実務以外で力を使うことに上司がいい顔をしないとか、「余裕があるね」などと嫌味っぽいことを言われるとか、そんな面倒くささがあるからあえて会社には言わないそうです。個人的な勉強に時間を割くことを、あまり好ましく思わない人がまだまだいるということです。ただそういう人に限って、自分の学びはおろそかにしていることが多いものです。
特に40代半ば以降の世代で、仕事に関する学びを放棄しているような人は未だに存在していますが、その姿勢のままで社会人人生を逃げ切ろうと考えるのは、さすがに難しい環境になってきているでしょう。
企業の人材育成にわずかながらも関わっている立場から見ると、多くの社会人の学びに対する姿勢は、昨今では大きく変わってきている感じがしています。
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