2012年12月19日水曜日

埋もれている「社員のノウハウ」


「これはアイツに聞けば分かる」「これはあの人が詳しい」「彼はやったことがあるはずだ」など、誰に聞けば分かるか、誰なら知っていそうかという自分なりの「情報リソース」を、皆さんもそれなりにお持ちだと思います。自分の知識経験だけで何でも処理できれば良いですが、そう簡単にはいきません。

会社というのはまさにノウハウの塊のようなもので、社員一人一人の持っているノウハウを集めて、個人では到底できないような、大きなことを成し遂げようとするものです。組織力とかシナジー効果などといわれることです。

ただ最近、「社内にノウハウを持った人がいると思われるのに、これを活かしていないのでは」と感じる出来事がいくつかありました。ある取り組みテーマについて、社内に過去の経験があるはずなのに、社内の“誰か”が持っていると思われる知識、経験、ノウハウが、表に出てこないのです。

その原因として考えられるのは、大きく分けると周囲の人(主に上司や経営者)の問題と本人の問題の二つです。

前者でいえば、「そもそも相手を知らない」「相手が持っている知識、経験、ノウハウを見出す能力がない。(認める感性がない)」「その大切さに気が付かない」など、周囲の人(特に上司)が身近にあるノウハウを見つけて活用する能力がないということであり、後者では、「組織への帰属意識がない」「面倒なこと(余計なこと)に巻き込まれたくない」「信頼関係が欠如している」など、本人が自分の持っているノウハウ自体を表に見せようとしない(隠している)ということです。

そして本人の問題だけが起こっていることは稀で、多くは周囲の人の問題(要は気づかない、認めないということや、その状態が継続すること)をきっかけに、本人がやる気を失って、自分が持っているノウハウ提供に消極的になったり、やめてしまったりという場合です。

自分なりの知識、経験に自負があるのに、周囲から認められないこと、評価されないこと、無視されることが続けば、やる気をなくすのは当然です。周囲の人間が相手の持っている知識、経験、ノウハウを、潜在能力まで含めてきちんと見出すことはとても大切で、特に上司の責任は大きいと思います。アピールしない奴が悪いともいえますが、何でも本人任せならばそもそもマネジメントなんていらない訳で、そういう意味でアピールできる環境を作っていない方が問題と思います。

個々が持つノウハウは、単にその場の結果だけを見ていてもわかりません。その人が今までどんなキャリアを積んできたのか、そのプロセスを知らなければなりません。経歴書などを見るのは良いですが、その人が経験してきたことの“目次”でしかないので、きちんと聞き取りをして把握しなければ、実際のところはわかりません。

自分のことで忙しいプレイングマネージャーが増え、何でも結果しか見ていない傾向も増しているように思いますが、そのせいでずいぶん無駄なこともしているように思います。
「灯台下暗し」で「宝の持ち腐れ」になっていないか、たまには身近な人たちを見つめ直すことも必要ではないでしょうか。


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