2015年7月29日水曜日

誰にでもある「置き忘れたままの間違い」は防げるのか


皆さんは、普通は誰でも知っているような基本的なことを、結構な大人になるまで、ずっと間違ったままで覚えていたという経験はないでしょうか。

私は童謡の「どんぐりころころ」の歌詞で、「どんぐろころころ、どんぶりこ」を、大学卒業の頃まで、「どんぐろころころ、どん“ぐ”りこ」だと思っていました。
言葉の意味や使い方、漢字の読み方、ちょっとした常識などで、こんな「置き忘れたままの間違い」は、誰でも一つや二つはあるのではないでしょうか。

これと同じようなことは、ビジネスの現場でもあります。
私が関わる中で、中小零細企業のオーナー経営者などは、特に法律がらみのところで、こんな「置き忘れたままの間違い」が起こります。

よくある一例として、残業単価の算出方法が、必ずしも法律に合致していないということがあります。なぜそうなってしまったのかを聞いていくと、法律を理解していても対処していないという確信犯という人よりも、そこに問題があるなどとは心の底から全く思っていなかったような人の方が、数は多いと思います。「悪気はなく、ただ知らなかった」ということです。

以前ある会社の社長から、「有給休暇は翌年にも繰り越しをするっていうのは本当か?」と質問されたことがあります。
有給休暇の繰り越しは、社会人として企業で働くことを何年か経験すれば、全員が必ず遭遇することですし、誰でも知っていそうなことだと思いますが、この社長の経験からは、この部分がぽっかりと抜け落ちていたようです。

なぜかというと、まずこの社長は、学校を卒業してからすぐに、家業であった自分の親の会社に入っていて、それ以外の会社への勤務経験はありませんでした。
少人数の零細企業でしたので、これは良いことではありませんが、有給休暇は病気になった時ぐらいしか取れず、休暇日数を気にしているような人は社内に誰もいませんでした。休暇を使い切るような人は未だかつて誰もいないので、有給休暇の取得日数が問題になることも、そもそも管理する必要すらなかったわけです。

そんな中で、会社も少しずつ人数が増え、いろいろな経験を持った社員が入ってくる中で、就業規則をきちんと見直そうとした時に、初めてそのことを知ったということです。
 この社長自身は、非常に真面目で順法精神も強い方なので、知らなかったということは、ご自身としても結構ショックだったようです。そんな方なので、それからすぐに有給休暇の運用の見直しをして、法律に合致するようにしていました。こういう不備が発覚しても、「そんなのは法律がおかしい」などと言ってしまう社長もいる中では、見習うべき対応だと思いました。

こういうことを防ぐには、情報に接する機会を増やす、プレーンを増やす、知識を持つ人から指摘を受けられる場を作る、などということが必要でしょうが、本人がそうとは思っていない「置き忘れた間違い」というのは、他の例と同様に、なかなか表には出づらいものです。

結局は、本人がどこまで疑問を持ち、どこまで意識して見ているかに委ねざるを得ないことなのかもしれません。「見つけた不備は、謙虚に直す」ということが大事なように思います。


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