2016年8月10日水曜日

若者には必要だと思う「やわらかいキャリア」という考え方



あるウェブ記事を見ている中で、実験的な新卒向け就職サービスとして、どうしても「やりたくないこと」にだけバツをつけて、あとは占いやくじ引きといった運や偶発性に委ねてみるというものがあるそうです。

多くの就職サービスは、希望業種や職種などの条件や、「やりたいこと」から志望企業を選んでいきますが、就職を経験したことのない学生にとって、それは自分の主観や思い込みではないか、働く前から自分の思い込みにこだわりすぎるのは危険ではないかという思いから、このサービスが始められたとのことです。

「運や偶発性で、大事な仕事やキャリアを決めていいのか、と言われるかもしれないが、例えば友達を作るときに、属性や条件を事前に選択し、情報を収集しながら厳密に絞り込んでいくというようなことはほとんどしないはずで、席がたまたま隣だったとか、たまたまクラスが一緒だったとか、その始まりのほとんどは“たまたま”であり、どう始まったかではなく、その後どう関わり合ったかが重要である」と述べられていました。

「やわらかいキャリア」という表現がされていましたが、就職において大切なのは、いかに入社先を決めるかということではなく、入社後にどれだけ前向きに働き続けられるかということであり、そこにはやりたいことをやるのではなく、やりたくないことをやらないキャリアも必要であり、特に新卒学生の社会への入口は、もっとやわらかい方が良いとのことでした。
「大切なのは、“生涯に渡るプロセス”であり、入口はあくまで入口に過ぎない」と述べられていました。

この考え方には、私も賛同するところがとても多いです。
例えば就職活動をしている学生を見ていて、「やりたいことが見つからない」という人は非常に多く、そんな中でも、半ば無理やり自分の志望分野を絞り込んで活動しています。

その志望先が、“たまたま”の出会いとなって、その先につながっていけばよいですが、そうでない人は必ず存在します。入社3年以内に新卒の3割が退職するというような状況は、あまり経験がない段階で入口を絞り込んでしまった結果のミスマッチといえるでしょう。

だとすれば、ここで言われているように、入口では絶対にやりたくない仕事だけを避け、それ以外のところでまずは運に任せ、そこから経験を積んでいく中で、本当に自分に合った仕事を見出していくことは、それが可能であるならば、私は理にかなっていると思います。

そもそも、20歳そこそこの年齢で、これから40年以上働く場所を見極めようなどということは、常識的に考えればできることではありません。
そんな無理をして会社を選び、合っているのかいないのかもわからないまま、会社から言われるままに仕事に取り組み、そのまま時間が経過していく中で、自分には合っていない仕事かもしれないと気づいたとしても、その頃にはもう他の選択肢がなくなってしまっているかもしれません。そうだとしたら、その後の職業人生は、あまり有意義な形にはならないように思います。

新卒の就職活動では、しっかり自己分析をして、業界研究をして、そこから自分に合ったものに絞り込んで活動しなさいと言われます。でもそれは、現実を知らない入口の段階では難しいことだと思います。

「社会人として働く」という未知の世界への入口で、「やわらかいキャリア」という考え方は重要なことではないかと思います。


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