2016年8月8日月曜日

どこか似ている「甲子園での女子マネ練習制止」と「女性活躍が難しい会社」



夏の全国高校野球の出場校による甲子園練習で、ユニホームを着てグラウンドでノック補助をしていた女子マネージャーが、大会関係者に制止されてベンチに下がる場面があったという話題がありました。

ジャージでの参加は禁止と書かれていたので、この学校では女子マネージャーのユニホームを新調して、甲子園練習に練習補助員として参加させようとしていましたが、そもそもの大会規定にグラウンドに立つのは「男子のみ」とされているとのことで、それが認められなかったようです。
この学校の野球部長は、「一緒に頑張ってきたので、甲子園のグラウンドに立たせてあげたかったが、自分の認識が間違っていた」と謝罪しています。

主催している日本高野連では、「安全面の配慮」など危険防止の面からの禁止と説明しています。スピードを伴ったボールが行き来する練習場面では、女性では対応しきれずに、事故の危険があるのだということですが、各方面からは、「時代錯誤ではないか」「世の中とずれている」などといった非難が出されています。


この理由を聞いたとき、私は「女性活躍が進まない会社」との共通点を感じました。
私は初め、大相撲や歌舞伎でも同じようなことがあると思いましたが、大相撲での土俵上の女人禁制は、神事に通じる昔からのしきたりがあるためとのことですし、歌舞伎で女形が女性を演じるのは、当初は女性がらみのトラブルが多かったという理由があるそうで、今回の件は、このあたりの経緯とは少し違っているように思います。

女性比率が増えない、女性リーダーや管理職がいないといった状況がなかなか改善しない会社や、女性の力を活用しようとしない、女性を避けようとするといった傾向があるような会社で、その理由として高い確率で出てくるのは、「女性では荷が重い」「女性では無理」という言い方です。
要は、危なそう、できなさそう、能力不足かも、といった理由で、そのチャンスや場を与えていないということです。

今回の高校野球のように、「安全面の配慮」と言われてしまうと、では男性ならば安全性が高いのか、運動神経の悪い男性と良い女性だったらどうなのか、そもそも安全対策に男女差はないはずで、ヘルメット着用や防球ネットの使用で、同じようなレベルの安全性は保てるのではないかという話が出てきます。

冷静に考えてみれば、そこには男性だから女性だからという理屈はほとんどないはずで、そういうことを言ってしまう実態は、昔は野球をするのは男しかいなかったからとか、女性がボールを扱う練習にまで進出してくることを想定していなかったからとか、そんなレベルだったのではないかと思います。とりあえず禁止しておけば、何かあった時に都合が良いと考えたのかもしれません。

この感覚は、まさに「女性活躍が難しい会社」の状況と同じです。個人の特性の差や能力の差を認めようとせず、チャンスや場を与えようとしていません。その理由は「荷が重い」「無理だから」と言います。

今の現場の状況を見ていると、確かにマネージャー適任の女性人材が豊富とは言えないですし、組織上の出世を望まない女性もいます。出産や育児となればどうしても女性に負担がかかるので、仕事との両立が難しくなる場面もあるでしょう。

その一方で、女性マネージャーを育てようとしていない、機会を与えていないということでは、会社にも責任があります。
危なかろうが難しかろうが、やっぱり場を与えて経験させなければ、その人が持つ本来の力を伸ばすことはできません。

ちなみに、ある学校の野球部では、練習でノッカーを務める女子マネージャーがいて、その技術は際立って高いそうです。しかし、この女子マネージャーも公式練習には参加できません。

チャンスを与えない、場を作らないということで締め出してしまうのは、何事においても良くないと思います。会社であれば、男だから女だからなどと言わず、社員が持っている能力はできるだけ活用するのが、一番会社のためになると思います。


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