2016年11月11日金曜日

「不満をいう人」は改善を考え、「面倒くさがり」は効率化を考える



もしも自分の部下が、不満分子的にいつも「不満を言う人」だったり、身軽に動かない「面倒くさがり」だったとしたら、普通はあまり好ましいことではないと思うでしょう。
何とか指導して改善しようと考えるか、それともあきらめてそれなりに扱うか、そんな対応になってしまうのではないでしょうか。

例えば、自分の指示命令にはいつも素直に従い、不平不満を言わず、何事も肯定的に捉えて働く部下がいたとしたら、いかにも良いことのように思うかもしれません。
ただ、こういう「素直で従順な人材」は、別の面から見ると「問題意識がないイエスマンの人材」とも言えます。

ある会社の部長は、人の好き嫌いが激しく、自分の気に入った人材ばかりを自分の部署に引き入れます。基本は「素直でおとなしく、自分の言うことを聞く人」が好きなようです。自分に意見を言ってくるような部下とは、ことごとくぶつかってしまってうまくいきません。

この部長の部門業績は、残念ながらあまり良くありません。維持管理のような業務が主体なので、伸ばせる余地が少ないこともありますが、伸びるよりは減る方が多く、ジリ貧と言っても良い状態です。

この部署の様子を見ていると、新しい取り組みや改善意見というものがほとんど出てきません。みんなが素直な分だけ、現状への順応が行き過ぎていて、何かを変えよう、直そうという動きがありません。「改善策を考えるように」と指示をすれば考えはしますが、そもそもの問題意識が少ないので、効果的な取り組みはあまり出てきません。

現状に不満を持っている人というのは、少なくとも今の問題点は自分なりに意識していて、それを変えたいと思っています。中には文句だけを言って行動しない人もいますが、それでも問題意識はあります。不満は問題意識の裏返しという面もあり、不満がないということは現状に満足ということなので、そこから何かを変えなければならないという意識は出てきません。

これと同じようなことで、業務の効率化を考えたとき、「そんな作業は無駄だ」とか、「面倒だ」というような人の方が、そのことを真剣に考えられます。「勤勉な人」や「長時間労働が平気な人」では、そもそも効率が良くなくても、嫌だとか困るという気持ちにならないので、効率化などを進んで考えることはありません。

「不満を言う人」も「面倒くさがり」も、その思っていることをしっかりと行動に転換することができれば、ただ「素直な人」「勤勉な人」よりは、よほど改善意欲にあふれていると見ることもできます。

現状肯定の行き過ぎは、“現状満足”ということで、新たな行動にはつながりづらくなります。これはビジネスをしていく上では、あまり良いことではありません。
ちょっと扱いが面倒なくらいの部下の方が、より大きな戦力になるという部分があるように思います。
「不満を言う人」も「面倒くさがり」も、特性の活かし方次第では、きっといい仕事をするはずです。

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