夕方のあるカフェでのこと、比較的すいた店内で、隣にいた若いサラリーマン風の男性がいろいろな会社に何本も電話をかけています。
取り次ぎを求める相手はほとんどが社長ばかりで、ずいぶん豊富なコネクションがあるのだと思っていましたが、次から次へとかける先で取り次いでもらえることがほとんどありません。なんとなく不思議な感じがし始めていていたところ、ある一件にようやく取り次がれて話している内容は、人材サービスのセールスでした。どうもリストを見ながらテレアポをしていたということのようです。
そういう仕事を公の場所でやってしまうこと自体の問題は感じますが、それはひとまず置いておいて、今までは会社の中やテレアポ専用の場所でしかできなかったことが、社外でもリストがアクセスできるようになり、場所を問わずに自分の都合でできるようになっているということです。
それと同時に感じたことは「やっぱり営業はなんだかんだ言っても電話なのだ」ということです。
これは私も経験したことがありますが、何度も何度も営業電話をかけてくる会社の商材が「ウェブマーケティング」だそうで、「自社のマーケティングはウェブではやらないのだ・・・」という笑い話のようなことがあります。
自分にとって不要な営業電話がうれしい人はいるはずもなく、逆にそういう一方的なアプローチを嫌がる傾向は年々強まっているように感じますが、ではメールや広告といった他の方法でうまくいくかというと、物が売れない時代ではなかなか成果につながらず、結局は直接話してプッシュ営業ができる電話が中心になってしまっているのかもしれません。ただ、私はかえって顧客を遠ざける要因になっているのではないかと心配してしまいます。
これとは反対に、社内のコミュニケーションが、なんでもかんでもメールに置き換わっていると問題視する話が少し以前にありました。隣の席同士でもメールでやり取りしていて直接話そうとしない、それはおかしいという批判的な意見です。
ただ最近は、あまりこういうことを言わなくなったように思います。その理由は、メールを使うメリットが共有されてきたことや、適切な使い方がされるようになってきたからだと思います。
私も仕事上のやり取りで基本的なことはメールが中心、それ以外にもフェイスブックのメッセンジャーやLINEや、その他のチャットツールなども使い分けます。
なぜかというと、やり取りがすべて記録に残って、“言った、言わない”の話になったり、忘れてしまったりということがきわめて少なくなるからです。メールの洪水に陥りかねないので、読み飛ばすものも相当ありますが、やり取りが後々まで確認できるということは仕事を進める上では重要です。
そういうことを踏まえて、所要時間や情報共有する人数や、伝えることの量や内容によって、いくつものツールを使い分けています。
インターネットがなかったような時代は、「郵便」「ファックス」「電話」「会って話す」くらいしか選択肢はなかったわけですが、そこに「メール」が加わったのがたぶん画期的なことで、そこから用途の異なる様々なコミュニケーションツールが出てきました。最近は音声入力が進歩して入力の面倒さも減っていますし、これからも新しいものがどんどん出てくるでしょう。
その一方、若い人たちの間では「手書き文字が温かい」「気持ちが伝わる」などと言って、手書きの手紙を写真で撮ってメールで送るなど、昔と今が融合したような使い方もされていると聞きます。
ビジネスの場では、コミュニケーションツールが多くなりすぎて、使い分けが難しくなっていることは確かです。そのせいで、特に「新しいものを追いかけるのは苦手」という人たちは、食わず嫌いで拒否していることも多いのかもしれません。こんな私でも、流行りものが面倒に感じてしまうことはあります。
ただ、これからの時代はそれでは損をしてしまうことが多いように思います。
効率的に仕事をするためには、どんなものでも「新しいものはとりあえず使ってみる」ということが必要ではないでしょうか。
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