最近は、周囲の仲間の力を取り入れながら、物事を成し遂げていく力のことを、「巻き込み力」などと言い、これがリーダーに必要な能力だと言われています。
一人でできることには限度があり、それ以上のことを成し遂げるためには、必ず誰か周囲の仲間との協力が必要になることがほとんどでしょう。
「巻き込み力」が高い人は、他人の話をよく聞き、人を差別せず、好き嫌いを言わず、論理的でなおかつ行動力があり、判断力がある人などと言われますが、これをすべて兼ね備えるような人格者はそうそういるものではありません。ただ、「巻き込み力」が高い人を一言でいえば、“みんなに好かれて信頼がある人”ということになるのでしょう。
こんな重要性が言われる「巻き込み力」ですが、周りの人からすれば「巻き込まれる」ということで、この「巻き込まれる」という言葉は決していいイメージばかりではありません。面倒なことや困難に「巻き込まれる」などということもありますから、この「巻き込み力」には、良いものと好ましくないものの両方があるといえます。
好ましい「巻き込み力」は、いろいろなところで解説されているので、ここではあえて嫌われる「巻き込み力」はどういうことなのかを考えてみました。
ちょっと思い浮かぶのは、「やたら面倒なことを要求する」「嫌がることを強制する」「自分の考えを押し付ける」などということですが、ここに共通しているのは「自分の都合に相手を巻き込む」ということではないかと思います。
良い巻き込みというのは、関係する人全員のメリットを考えていますが、好ましくない巻き込み、嫌われる巻き込みは、ただ自分の問題を解決するためだけ、自分に都合よく物事を運ぼうとしているだけです。自分の問題に、ただ一方的に相手を巻き込んでいるだけということがほとんどではないでしょうか。
私は仕事の基本というのは、「いかに関係者同士のWin-Winを生み出すか」にかかっていると思っていますが、嫌われる「巻き込み力」は、この基本から外れています。
実際の仕事の場面で、この嫌われる「巻き込み力」を駆使している人は、実は結構見かけます。例えばリーダー、マネージャーという立場の人が、相手の考え方や価値観を尊重せず、一方的に自分の価値観を押し付けるような態度は、まさにこの良くない巻き込み、嫌われる巻き込みにあたります。
そして、そういう行動をしている人に限って、「自分は“巻き込み力”がある」と自己評価していることが往々にしてあります。しかし、それは良い意味の「巻き込み力」ではありません。
リーダーに「巻き込み力」が大事なことは間違いありません。ただしその中には良いものと好ましくないものがあり、さらに自分の「巻き込み力」を勘違いしていることがあります。
今一度、自分自身の「巻き込み力」を見直してみてはいかがでしょうか。
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