2018年7月18日水曜日

「伝えるか」「伝えないか」と「伝え方」の関係


先日の話題で、ある気象キャスターの方が2歳の息子と飛行機で北海道に向かったところ、着陸直前に息子が「降りたい!」と言い出し、隣の客から「うるさい」と抗議を受けたという話がありました。
それまでは何とか機嫌を保っていたものの、着陸間際にいよいよ我慢できなくなったようですが、そこで隣の客から「うるさいんですよ!静かにしてください」と苦情を言われてしまい、すると子供は「ママ、おこられちゃったの?」と聞いてきたそうで、その後は大人しくなったということでした。

コメントには「日本人の子供に対する寛容の無さ」「自分たちが子供だった頃のことを棚に上げてる」「子連れに厳しすぎ」「親が一番気を使っている」「日本は社会で育てるという意識が少ない」などと、激励する声が多く見られたとのことです。
ただ、「苦情を言っておとなしくなったのなら、それで良かったのではないか」という声もありました。

こちらは、私が最近出会ったことですが、あるカフェで仕事をしていたとき、向かいに若い男女二人が座っていて、いろいろ話をしていました。
後から言われれば、まあ多少にぎやかだったのかもしれませんが、私の隣にいた女性が、立ち去り際にその二人に「あなたたちがうるさくて全然休まらなかった!」と吐き捨てて去っていきました。
そこは静かに安らぐような店ではなかったので、私はその人のお店の選択が誤りで、文句を言う方がおかしいと思ってしまいましたが、ちょうどお昼時の休憩時間帯だったので、貴重な休み時間が失われたような感覚だったのかもしれません。

どちらの場合も、行為としては「自分の不満を相手にぶつける」ということで、確かに相手にも非があります。ただ、その感じ方が万人共通だったかと言えば、決してそうではないでしょう。

こんな時、皆さんだったらどうするでしょうか。
私の場合、もし前者の飛行機であったら、たぶんお母さんが大変そうだとか、子供が多少ぐずるのは仕方がないと割り切れるので、特に何も言わないか、どちらかと言えば何か手伝えないかと考えます。
ただし、やたら声が大きいとか、お母さんの態度がいいかげんとか、その時の状況によっては不満を持ったかもしれません。
後者のカフェでは、別にうるさいとも思わなかったので、そもそも言うこと自体がありません。

言う必要がないことも含め、どちらの場合も、あえて何かを相手に伝えようとはしなかったと思いますが、たぶん、そんな感じの人が多いのではないでしょうか。このように、あえて言わずに我慢する「非主張行動」と言われるパターンは、特に日本人の場合は結構多いと言われます。

この「非主張行動」の問題は、それがたまってくると爆発して、「攻撃行動」に転換しやすいということです。俗にいう「キレる」であったり、沸点の低い「クレイマー」は、概してこのタイプです。
最近は、駅員への暴行の増加や、あおり運転の話など、急に攻撃的になる話をよく聞きますので、日頃からイライラしている人が増えているのかもしれません。

こういう時に好ましいのは、「適切な主張行動」だとされます。言わずに我慢するのではなく、かといって攻撃するのではなく、適切な言い方で気持ちを伝えるということです。

前者の飛行機の話で言えば、どんな言い方だったのかはわかりませんが、「苦情を言われた」「怒られた」と言っているので、それなりに強い調子だった可能性はあります。
後者のカフェでは、明らかに自分の感情を一方的にぶつける攻撃的な言い方でした。まったく適切ではありません。

まず、「伝えるか」「伝えないか」で言えば、負の感情をためないように、できるだけ伝えた方が良く、ただしその伝え方は、一方的にならないように考えなければなりません。
実行するのは結構難しいですが、このことが頭に入っているだけでも、対応の仕方はずいぶん変わります。
言わずに我慢してキレるのではなく、初めから上手く伝えるニュアンスを考えるようにしましょう。


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