今年のゴールデンウイークは、新天皇の即位に伴って10連休となりますが、時事通信が実施した「10連休に関する世論調査」によれば、4割が「うれしくない」と回答したとのことです。
「とてもうれしい」「まあうれしい」の合計36.5%に対し、「全くうれしくない」「あまりうれしくない」の合計は41.0%で、「関心がない」という回答も21.1%あったそうです。
年齢別では働き盛りの30歳代、40歳代に「うれしくない」の回答が多かったとのことで、「今後も国が主導して長い連休をつくるべきか」との問いには、「そう思う」の29.9%に対して、「そう思わない」が66.8%と、否定的な回答が多数を占めました。
うれしいと感じない理由には、「仕事を休めそうにない」「仕事に支障がある」といった答えが多かったようですが、「休めそうにない」は“休みたいけど休めない”ということ、「仕事に支障がある」は“休みたくないのに休まされる”ということで、思っていることは正反対です。ただ、どちらも自分の意思に反しているから「うれしくない」と言っています。
仕事内容によって、どうしても休めない人はいるので、それは仕方がありません。そうでなければ、この連休は前から決まっていたことなので、仕事は前もって調整すれば良いし、うれしくないなどと言わずに楽しめば良いと思うのですが、そう思えない気持ちもわからなくはありません。自分の意思に反することを強制されれば、それがどんなことであっても、前向きにとらえるのは難しいでしょう。
休日、休暇のように、本来は働く人にとってメリットであるはずのことでも、自分の意思で決められないと不満に思ってしまいます。
先日、こんな話もありました。
インデペンデント・コントラクター協会といって、「期限付きで専門性の高い仕事」を「雇用契約ではなく業務単位の請負契約」で、「複数の企業」と活動する「独立・自立した個人」の団体の会合で、今の仕事のやり方で何が好ましいかという問いに対して、「納得できない仕事をやらない自由があること」といった人がいました。
その場にいた多くの人が同意していましたが、それは私も同じで、企業勤めの人が不本意な仕事や一方的な異動命令、嫌な上司や顧客などの愚痴を言っているのを聞いていて、もっと自分でどうにかすれば良いのにと思う反面、雇われていればそう簡単に「自分の意思で」とはいかないのだろうとも思います。日本のようにまだ転職にハードルがある社会では、なおさらそうせざるを得ないでしょう。
「日本人の仕事への熱意は世界最低水準」という調査結果がありましたが、これは仕事の上でも「自分の意思」では決められず、会社からの強制の多いことが一因ではないでしょうか。
最近の組織・人事マネジメントの世界では、この「自分の意思」を尊重しようという流れがあります。社内フリーエージェントや公募、勤務地限定のような制度はそうですし、育成の場では簡単に答えを与えずに、一緒に考えて本人に答えを出させる方法がとられます。
上司と部下間で、目標設定やフィードバックを頻繁に行って、やる気を高めようという取り組みでも、「自分の意思」で目標を決定することが重視されます。
企業の中で「自分の意思」を尊重することは、これまでと同じ発想ではなかなか難しいですが、良い成果を得るためには一律もしくは一方的な指示、命令、強制だけでは立ち行かなくなっています。
海外の人は「仕事」の反対は「遊び」というのに対し、多くの日本人は「仕事」の反対は「休み」というと聞いたことがあります。にもかかわらず、「連休がうれしくない」などという話を聞いて、相変わらず休み方が下手だと思いながら、やはり「自分の意思」で決められていないから不満を持っていることも感じます。
休みでも仕事でもそれ以外でも、もっとお互いの事情を考慮し合って、「自分の意思」で決めて納得し合える社会になれば良いと思います。
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