2019年12月9日月曜日

「○○をしない」の否定形の目標は失敗しやすい


ツイッターの書き込みで目についたことです。
ある投稿に「否定形の目標は失敗しやすい」とあり、例えば「夜更かしをしない」は「○時までに寝る」、「怒らない」は「まず笑顔で接する」、「無理をしない」は「○時間ごとに休憩する」など、肯定形に変えるだけで成功率が上がると書かれていました。他の人からは、「肯定的な表現にした方が、目標がより具体的になるからだ」というコメントもついていました。
まさにその通りだと思います。

この手の話は、他にもいろいろな形で言われていることです。
少し前に話題になった「ネガポジ変換」は、言葉の通りネガティブからポジティブへの言いかえで、「頑固」は「信念がある」や「自分の意見がある」など、「優柔不断」は「よく考える」や「思慮深い」などと、言葉の表現をポジティブに言い換えることで、気分が明るくなり、前向きに行動しやすくなるといいます。

他にも「You(ユー)メッセージ」と「I(アイ)メッセージ」というものもあります。
「Youメッセージ」はYou(あなた)が主語、「Iメッセージ」はI(わたし)が主語になる言い方ですが、例えば「Youメッセージ」では、「(あなたは)なぜ連絡しなかったのか」「(あなたが)ゴミ捨てにいきなさい」など、相手を主語にすると責め口調や命令形になりやすいため、相手にとって受け入れづらいニュアンスになりがちだといわれます。
これに対して「Iメッセージ」は、例えば「連絡してくれると(わたしは)仕事がしやすくなる」「ごみ捨てをしてくれると(わたしは)助かる」など、自分を主語にして、その感情を表現することで、柔らかく前向きで、相手に受け入れやすいニュアンになります。

これらの方法は、対象が自分の内面であったり、相手に対するものであったり、それぞれ違いはありますが、いずれも「肯定的、具体的な言葉で表現することが、人間の納得感や前向きな行動を促す」という点で共通しています。

人間の基本的な心理として、「他人からコントロールされることを嫌う」ということがあります。命令をした側からは、その命令に従ったように見えていても、それはその人が「この命令にはとりあえず従っておいた方が自分にとって良いだろう」と主体的に判断した結果だとされ、これは心理学で「すべての行動は自らの選択である」と考える選択理論といわれるものです。

何らかの外的刺激に対して、プラスの反応とマイナスの反応があり、それによって最善と思われる実際の行動を選択するわけですが、そうなると、その人の心理をプラスの反応に導くような、声掛けや言葉での働きかけが重要になります。
最近よく聞くパワハラのような問題は、この言葉の表現がきつかったり一方的であったりすることにも一因があります。

否定形や責め口調を避け、前向きな言葉での表現を心掛けるだけで、人の行動は大きく変わってくるはずです。


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