2019年12月2日月曜日

「違いが大きい同士」の協力の方が相乗効果は高まる


最近の新聞記事で、「若手社員はシニアが苦手」というものがありました。
定年後も働くシニアが増えている一方、20~30代の若手社員の5人に1人は「シニアと働きたくない」と思っているそうです。

記事によれば、若手社員はシニアに対して「プライドが高い」などマイナスの思い込みがあったり、実際に「仕事を教えてほしい」と頼んだら、体験談を長々と語られて困ったりするなど、やはりすれ違いが起こりがちで、特に若手社員の方が苦手意識を持ってしまうことも多いといいます。
シニアからの教え方を、若手がパワハラやセクハラと感じてしまうケースもあり、注意が必要な場合もあるようです。

ただ、ある会社では、シニアと若手を協働させる取り組みをしていて、若手社員は実際に一緒に働く経験をすることでそれまでのマイナスの先入観がなくなり、仕事を教えてもらうことも多くなり、打ち解けて本音を話せる相手になったといいます。
一緒に働くシニアの方でも、経験がないからこそ丁寧な若手の仕事ぶりを見て、初心に帰らなければと気づかされたり、若手社員の方が得意な新しい機械の操作などを手助けしてもらったりということがあるようです。

もちろん個人差はありますが、一般的には20代の若手とシニアは、大きな年齢差があって価値観が違う前提でコミュニケーションをとるため、いい意味での距離を保ててお互いのアドバイスを聞き入れやすく、仕事でも得意・不得意のすみ分けがしやすいので、実は一緒に働く相性はいいそうです。

これに共通する話ですが、「特徴や価値観が遠い人や物同士をうまく組み合わせれば、より成果が大きくなる」ということを聞いたことがあります。
例えば、新しいラーメンを考案しようとして、いかにも相性がよさそうな既存食材の範疇で考えても、それほど新しいものができることはなく、既存とは対極にあるようなものと組み合わせることが、よりイノベーションにつながるといいます。

事業でも、同じような業界、親和性の高い企業同士のコラボレーションよりも、まったく関係ない異業種の組み合わせができたとすれば、その方が新規性は高く、生まれる成果も大きくなるでしょう。

若手社員とシニアの組み合わせで、特に若手が一緒に働きたくないと思う理由は、「見えない不安」だといいます。若手とシニアの接する機会が、プライベートを含めても少なく、年齢がかけ離れている相手を想像できないことによる不安です。
こういう不安は、工夫をすれば取り除くことができます。お互いが接する機会を作り、相手の様子を知れば、不安は少しずつ減っていきます。
若手とシニアの協働を進める企業でも、一緒に働きながらお互いの事情を知ることで、徐々に効果が表れています。

対極にあるもの同士は、なかなか結びつきづらく、関係を作るにも不安がつきものですが、それを乗り越えられれば、より大きな成果につながります。
苦手な相手でも、知らない業界でも、まずは試しにつながってみることで、様々な可能性が広がるように思います。


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