2020年7月27日月曜日

情報共有に“前向きな”会社と“軽視する”会社 


新型コロナの感染増加に関する情報で、「夜の街」という言葉がよく出されています。「接待を伴う飲食店」とも言っていて、どうもホストクラブやキャバクラあたりを指しているようですが、そもそも接客しない飲食店というのはほぼ存在しないわけで、具体的にどんなお店のことを言っているのか、今一つはっきりしません。
ざっくりとした地名が挙げられて、「避けてください」などと言われますが、こういう情報の出し方では、ごく一部の危険性があるお店とそれ以外のそこまで危なくないお店との区別がつきません。

例えば「雨が降りそうだから出かけない方が良い」と言いながら、どこでどのくらいの時間、どの程度の強さの雨が降るのかという情報が、ほとんどわからないのと同じ状態なので、実際にどう行動するかを判断するのは、限りなく個人の感覚的な話になります。多くの人は、たぶん安全サイドで判断するのではないでしょうか。今のように、公的な情報があいまいで中途半端では、お店によっては「営業妨害」と感じてしまうところもあるでしょう。
情報の出し方、共有のしかたにはいろいろ難しさがありますが、もう少し工夫しなければいけないと思います。

企業の情報共有でも、私は会社によってかなり温度差があることを感じてきました。
情報共有に積極的な会社は、その方が「仕事が効率的」「不満が減る」などと言いますが、反対に消極的な会社は、「知らせても正しく理解できない」「不満を助長する」と言います。
前者は「知らせないことが不満につながる」と考えるのに対し、後者は「知ってしまうと不満が出る」という発想ですが、そんなに隠し事のたくさんある会社が、社員にとって好ましい場所のはずはありません。

情報共有にはIT活用が必須なので、積極的な会社はグループウェアやチャットツールなどのコミュニケーションインフラを整備し、消極的な会社はこういう設備投資をほとんどしません。
前者はITリテラシーが高く、後者は低い傾向があることが多いですが、このことは当然業務効率や業績に跳ね返ってきます。これはもともとのITリテラシーが低いために情報共有の手段を知らず、結果的にそれがおろそかになっている場合もあります。

情報共有に積極的な会社は、社員に知らせるべき情報は何か、いつどのように知らせれば理解しやすいかなど、常に「受け手である社員の状況」を考えますが、消極的な会社は「上が都合の良い情報」をどう伝えるか、浸透させるかと考えます。
前者は純粋な情報共有ですが、後者は会社に都合が良い刷り込みや誘導、洗脳のようなニュアンスがあります。相手目線か自分目線かの違いです。

かつてのように、先の見通しがつけやすい時代であれば、一部のリーダーが情報を握って指示することでも、組織マネジメントが成り立ちました。
しかし、今のように混沌として正解が見つけられない時代では、各自がその場その場の状況で判断していくことが必要であり、そのためには情報共有が必須になります。
これがうまくできない組織は、もうすでに淘汰され始めています。

新型コロナに関する情報共有では、最近徐々に改善されつつありますが、まだ相手目線ではなく、政治的な思惑や刷り込み、誘導をもくろんでいるかのような内容が多く見受けられます。これは情報共有を軽視したり嫌がったりする会社と似ています。
今こそ適切な情報共有が、本当に大切な時代です。


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