いろいろな会社とお付き合いをしていると、法律にルーズな社長に時々出会います。残業代の計算や有給休暇の話でよく出てきて、「そんな法律守っていたら会社がつぶれる」などといいます。そう言いながら、発覚すれば確実に行政から指導を受けるような取り扱いをしています。
私も様々な形で指摘はしますが、あまり真面目に受け止めようとしないことが多いです。順法精神が薄いのか、それともやむを得ない事情があるのか、そのあたりは何とも言えません。
その一方、ある会社で「このままでは法律違反」と指摘すると、社長は本当に知らなかったようで、しばし愕然としていたことがあります。その後の最初の一言は「それで他の会社は成り立っているのか」でした。
しかしこの社長は、「ダメとわかったら直すしかない」と言って、即日で自社の規定を直し、社員に知らなかったゆえの不利益な取り扱いを詫び、期間をさかのぼって対応する旨を伝えていました。本来あるべき姿なのかもしれませんが、正直言って普通はできない立派な姿勢だと感心しました。
この社長は、その他のことでもルールやマナーを守って行動します。たばこやお酒のマナー、テーブルマナー、その他どんなことも同じです。知らないことは「知らないから教えて」と周りに聞き、その時の雰囲気を壊さないように気を遣います。そういう人なので、私はこの社長をどんなお店にも、どんな集まりにも誘うことができます。行動が信用できるからです。
一方、前者の「法律なんて守っていられない」という社長は、やはり他にも同じようなことが多々あります。一概に決めつけてはいけませんが、他人が決めた規則には従わず、しかし自分が決めたことに対しては、それに従わない者を叱責します。口癖は「それくらい常識だろう」です。自分が決めたルールには厳しいです。
この人とはずいぶん前に接点がなくなりましたが、どうもその後に病気をして、療養しながら仕事を続けているという噂を聞きました。思い起こすと、その当時から医者に言うことはあまり聞かず、効果がよくわからない健康食品を愛用していました。その後も医者からいくら強く言われても、生活習慣は変えず薬も続けなかったようです。
どちらの社長も、それぞれの価値観や行動を見ていると一事が万事で共通している感じがします。
なぜ急にそんなことを思ったかというと、その理由はコロナ禍の中での人々の行動や言動からです。それぞれの人たちの意見が大きく割れて多様化していますが、それぞれの考え方の道筋と到達した結論の内容が、その人がもともと持っている価値観や考え方によって、意外にパターン分けされていると思ったからです。
厳密に整理はできていませんが、自信家やイケイケの経営者、政治や医療やマスコミが不信の人、楽観主義者や悲観論者など、それぞれの考え方と行き着く先の主張がかなり共通しているように思いました。
それぞれの意見に対してどうこうということはありませんが、様々な事柄について「この人はきっとこう考えるのだろう」ということが何となく予想できて、どんなことでもその人なりに一貫性があるものだということを、あらためて感じました。
人の考え方が多様化していて、その心理を前もって推し量ることが難しくなっていますが、それまでの行動や言動、態度を知れば、意外に予想することができるのではないでしょうか。
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