2021年5月6日木曜日

有給休暇が取りづらい「在宅勤務」

ここ最近、知人の数人から「有給休暇がとりづらくなった」「平日は休めなくなった」という話を聞きました。みんな昨年からほぼ在宅勤務で仕事をしている人たちです。

 

直近の世の中の状況がどうなのかを調べてみると、大手旅行ブランドのエクスペディアが毎年実施している「有給休暇の国際比較調査」によれば、2020年は世界的にほとんどの地域で休暇取得日数が例年より少なかったそうで、聞いた話のような傾向があるようです。

休暇取得率が世界的に低下した原因としては、やはりロックダウンをはじめとした外出自粛の影響で、レジャーの機会がほとんどなかったことが背景にあると分析されていました。単に「自宅で休息」といった休暇の使い方は、どこの国でもあまりしないのは共通しているようです。

 

もともと日本では有給休暇取得率の低さが課題とされ、2020年までにこれを70%にするという政府目標があるようですが、厚生労働省の調査では2019年に過去最高ながらも56.3%、さらに2020年はほぼ確実に前年より下がる見込みとのことです。前述の国際比較調査では日本は45%という数値が出ていました。いずれにしても70%という目標にはほど遠い状況のようです。

 

「レジャーが減った」という理由は確かにそうでしょうが、私の知人たちはこんなことも言っていました。

まず、「会議の数がすごく増えた」という人がいます。すべてリモート会議ですが、定例の会議がほぼ毎日あって休みやすい日がなくなってしまったそうで、さらにあまり出席する必要がなさそうな会議でも、「とりあえず話だけ聴いておいて」などと言われることがあるそうです。

テレワークになってから、この「会議が増えた」という話は多くの人から聞きますが、場を共有していないことでのコミュニケーション不足への対処としてはやむを得ない部分があるとして、さらにリモート会議だと場所や時間、人数などの制約がないので、インターバルなく予定を詰められることや、出席人数を増やしても物理的制限がないことなどが複合して、形骸化した会議が増えているという問題が出ています。

 

もう一つは「スケジュール管理が細かくなった」という話です。マネジメントするマネージャーからすれば、仕事をしている部下の姿を直接見られないことから、毎日の業務状況を把握しようと指示や管理が細かくなるのでしょうが、そうやって管理される部下としては、「明日は休みます」などと言いづらいことは間違いありません。外出やレジャーが予定できないとなればなおさらです。

 

そしてこれはみんなに共通していることとして、通常のように出社して働いていれば、会社にいる間は100%仕事で、通勤時間に気持ちを切り替えて、家では100%プライベートとなりますが、在宅勤務の場合は仕事とプライベートの境界線が近すぎて、整理がつきづらくなっているところがあります。家にいてもプライベートではない仕事の時間があるわけですが、それを有給休暇に置き換えることに心理的なハードルを感じたり、休暇取得自体の意義が薄れていたりする人もいるでしょう。

 

「有給休暇」と「在宅勤務」の関係の難しさは、昨年からのワークスタイルの変化によって見えてきた課題の一つです。在宅勤務をはじめとしたリモートワークの進め方は、今後も考え続ける必要があります。

 

 

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