数年前の調査ですが、日本企業が社内会議に費やしている時間は、メンバークラスで週に3時間超、係長級で6時間、部長級になると8.6時間になったそうです。年間で推計すると、メンバークラスでは154時間、部長級では434時間を超え、さらに従業員規模が多いほど上司の会議時間は伸びていて、1万人を超える大企業では630時間にもなるそうです。顧客など社外との打ち合わせは含まれていないとのことなので、ずいぶん長い時間を使っていることがわかります。
これがムダだと思う人は当然いるわけで、この調査ではメンバーでは23.3%、それ以上の上司層の平均では27.5%の方が会議にムダが多いと感じているとのことでした。経営視点があって参加意識も高いはずの上司の方がムダが多いと感じているのは、やはり問題があります。
調査結果からの推計では、ムダな社内会議時間が、1500人規模の企業で約46人分の年間労働時間に相当する年間9万2000時間、1万人規模の企業では約332人分の年間労働時間に相当する年間約67万時間となりました。損失額にすると、それぞれ年間で約2億円と15億円になるそうです。
ムダが起こる原因には、「会議が終わっても何も決まっていない」「終了時刻が延びる」「些細な議題で会議を開く」といったことが挙げられており、ムダを減らすには「所要時間の制限」「司会者による決定事項の明確化」が効果的だったとのことでした。
多くの会社でムダな会議を減らす取り組みは行われていますが、現場の様子を見ていると、そんな意識が全く感じられないこともあります。経営者、幹部社員、管理職の意識に左右されているように見え、「とりあえず集まって話し合おう」という感じですぐ会議をしたがる管理職は、相変わらず見かけます。
これは最近現場の人たちから聞くことですが、会議の回数や時間が増えているという話があります。その理由がオンラインでの会議です。会議が効率的に開催できるようになった反面、移動時間などのインターバルが不要であることや、会議室の大きさなどの物理的制限がないことなどから、間断なく会議が設定されたり、必要があるのかないのかわからないような会議への参加を求められることが増えたといいます。会議のはしごがしやすくなり、それを見越してスケジュールが詰め込まれてしまい、一日中会議ばかりに終始してしまうこともあるそうで、会議のムダも増えているように感じるそうです。
コロナ禍によってオンラインでも仕事ができる環境作りが進み、みんながそれを経験しながら徐々に定着してきましたが、効率化ができた一方、逆の現象も見られるようになりました。会議の問題もその一つといえるでしょう。
リモートワークでは、コミュニケーションの取りづらさが一番大きな問題として言われますが、その反動として会議が増えていることもあるでしょうし、開催が容易になったことでの詰め込みが起こっていることもあるでしょう。今までとは異なる新たな対策が必要になっています。
こんなことからも、働く環境や働き方がこれまでとは大きく変化していることと、それに伴って起こる課題も変わってきていることを感じます。変化対応力がますます重要になってきています。
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