2012年8月27日月曜日

心の余裕

以前、カウンセリングやコーチングといった分野の専門家の方の講演で、「自分が仕事に追われて心の余裕が無いようでは、他人のことを親身になって考えたり適切なアドバイスをしたりすることは出来ない」というお話を聞いたことがあります。

確かに自分が自分のことに精一杯では、他人の事などかまっている場合ではありません。企業内での人間関係が希薄になった、人材育成がおろそかになったなどと言われますが、一つの業務に関わる人員は減り、経験を積ませたくても作業効率が落ちるからとOJTの機会すら与えられず、一人ひとりの負荷が高くなっている現状では、「心の余裕」が失われてしまうのも当然の結果なのかも知れません。
この点からいえば、組織内の人間関係や人材育成の立て直しのためには、いかに「心の余裕」を生み出すかということもいえるように思います。

「心の余裕」というのは、個人の主観的な受けとめの部分も大きく、個々のキャパシティや能力差、経験差、性格にまで左右されるので、一概に何をすると言うのはなかなか難しいと思います。

ただ、「心の余裕」につながる事柄というのは結構たくさんあって、単純に
「休みを取らせる」
「悩みを聞く」
「アドバイスをしてあげる」
といったことだけでなく、

「知らなかったことを知る」
「新たな経験から自分なりの物差しを持つ」
「面識が無かった人と話せるようになる」
などということも広い意味では「心の余裕」につながります。

そうだとすると、企業内で出来る施策としては「研修などを通じて知識を与える」「新たな業務経験をさせる」「日々のコミュニケーションでお互いをより深く知る」「オフタイムでのパーティーや飲み会、その他の交流機会などでいろいろな人と接する」など、非常にオーソドックスな方法になります。

「心の余裕」を取り戻すために企業ができることというのは、結局今まで当たり前に行われてきたこれらの事に、改めて価値を見出して取り組んでいくことに尽きるのではないかと思っています。


最後に心の余裕とは少し違うのかもしれませんが、前に見たテレビ番組で、ホームレスの方が病気になった他の仲間の事を心配して、相談機関を訪ねたりカンパを集めたりしている姿を見たことがあり、自分も極限に厳しいはずなのに、そんな中でも他人を気遣うことができるということに、とても感銘を受けたことがあります。

「心の余裕」の本当の根本は、施策とか仕組みではなく、個人個人が持つ気持ち次第ではないか、とも思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿