2018年2月9日金曜日

「そのルールはなぜ必要か」を考える習慣づけ



人事、組織のコンサルタントとして、企業の組織改革や業務改善を支援している立場上、人事制度に限らず社内の様々な仕組みについて、現状や実態を確認しなければならないことがよくあります。
そんなとき、なぜその仕組みがあるのか、なぜその手続きが必要なのかについて尋ねても、明確に答えてもらえないことが意外に数多くあります。

経営者や管理者であれば、現場でおこなっている日々の細かい業務の内容までは、知らなくても仕方がないところがありますが、実際にその仕組みを使っていたり、手続き業務を担当していたり、その他日々の実務をおこなっている担当者に聞いてもはっきりしないことが多々あります。
良く言われるのは「前からそうだった」「前任者から引き継いだ」など、要は手続きの進め方などはわかっていても、なぜそうしなければならないのか、どんな理由でそうなっているのかを理解していません。

ある会社であったことですが、使い道はほとんど同じにもかかわらず、二通りの微妙に違う書式がありました。それぞれ別の部署で管理していて、それぞれの部署で「用途が違うから」といいますが、実際に片方の部署ではその情報を使う機会はほぼなく、ただ今までの慣例に従って書類をストックしていただけでした。
そうなっていた理由を追いかけて見ると、どうもある時の組織変更に合わせて、その手続きをおこなう担当セクションを変えたようですが、微妙に中身が違っていたために両方が何となく併存する形になり、その後一方が無意味になっていたにもかかわらず、誰も疑問を持たなかったために、見直さないままで生き続けていたということです。

そうやって、そもそもの経緯の話と、不要になっているので一方は廃止して統一するという話を伝えると、みんな「何か二重管理でおかしいと思っていた」などというのですが、誰もその疑問を解消しようとまではしていません。その理由は「今までやってきたから」「そう指示されているから」とのことでした。

「業務改善」「組織改革」「生産性向上」など、テーマとしては大きなものですが、実際に起こっている問題というのは、この手の単純なレベルのものがほとんどで、それがいくつも重なり合って、何となく大きな問題に見えています。

要するに「無駄なこと」を「疑問を持たずにやっている」という話ですが、私はこの「無駄なこと」ももちろん問題ですが、それを「疑問を持たずにやっている」ということの方がさらに問題だと思っています。無駄なことは気づけばすぐにやめられますが、問題意識や改善意識がなく、そもそもの目的も知ろうとしていないということは、それに気づく能力がないということで、いつまでも無駄が温存され続けるということです。ルールが決められ、その中に無駄が潜んでいると、よけいに気づく機会が失われます。

「働き方改革」の旗印で無駄の削減を進めようという会社がたくさんありますが、現場のそれぞれの担当が問題意識を持ち、「ルールだから」と言って思考を止めないようにならなければ、本当の問題は見つかりません。
「そのルールはなぜ必要か」を考える習慣づけが必要です。  


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