2020年5月18日月曜日

「あいまいな指示」「矛盾する指示」


今の新型コロナ対策で、政府や自治体から様々な要請、指示が広報されていますが、私の印象では、基準や根拠として、あいまいさや矛盾を感じてしまうものが結構多いと思っています。
これは自分の仕事上でも、「あいまいな指示」「矛盾する指示」をされた経験がありますし、自分の出した指示がそうだったことも、正直言ってたくさんあります。

指示を受ける側のことでいえば、会社員の頃のことは、あまり具体的には覚えていませんが、期限がアバウトな指示をされることは多かったように思います。
よくある「なるべく早く」ということですが、そういう指示をされるということは、「そこそこ要領よくやるだろう」と信頼されていたのかもしれませんし、本当にアバウトな期限でよかったのかもしれません。
ある程度自分勝手にやっていたので、それほど問題を感じたことはありませんでしたが、それでも指示の意図や内容がよくわからず、確認しなければならないことはありました。

わりと最近のことでいえば、ある会社からの引き合いで、「うちの社長が納得しやすい提案を」と言われたことがあります。しかし、このとき先方の社長とはほんの少しの会話の機会しかなく、どんな人でどんな価値観を持っていて、今回の件は何を基準に判断しようとしているのかは今ひとつわかりません。そもそも、相手が納得できない提案を好き好んでするはずはなく、指示自体もおかしな話です。
こちらとしては、与えられた情報をもとに、自分の判断で最善と思う提案をするしかありませんから、やることは別にいつもと同じです。指示や要望としては、ほぼ意味がない一言でした。

また、矛盾ということでいえば、私の仕事で良くあるのは、例えば「みんながハッピーになる人事制度」といったものです。もちろんそうなることが一番ですが、制度だけでできることとすれば、「社員全員の給料が上がる」など、会社としての対応がほぼ無理なものに限られます。
矛盾を両立させるには、その中間のどこかでバランスを取るほかなく、それでもやはり社員間での損得は出てしまいますから、全員ハッピーのウィンウィンとはなりません。
たぶん悪気なく、総論での方向性を言っているだけでしょうが、指示や要望としては矛盾しています。「あちら立てればこちらが立たぬ」ということは、仕事上はよくあることではないでしょうか。

一方、指示する側としての話でいえば、私の場合はゴールイメージと期限だけを指示して、あとは部下にほぼ丸投げということが多かったと思います。もちろん相談があれば一緒に考えますし、求められれば細かい指示もしますが、今思えばこのやり方は、人によって向き不向きがありました。
ある程度の基礎能力があって自律できる人は、この方が「やりやすい」「任されている気がする」と肯定的ですが、自信がない人や細かく教えてほしい人にとっては、途中のプロセスがイメージできないため、あまり良い指示のしかたではありませんでした。今となっては反省です。

このような「あいまい」「矛盾」を解消するには、指示する側とされる側が、お互い歩み寄って確認し合うしか方法がありません。「あいまいな指示」はお互いが具体的な数値や時間などを意識して確認し、「矛盾した指示」については、それをどうバランスさせるか、落としどころをどうするかを相談して共通認識を持つしかありません。

ちなみに、今の新型コロナの件では、数値データをはじめとした現状把握があいまいなため、指示や要請に今一つ説得力がないと感じています。
また、緊急事態宣言解除の発表翌日に、「気が緩んで人出が増えているから自粛しろ」と言っていますが、そもそも人出を少しずつ増やそうという判断による宣言解除なわけで、「お店は営業してもいいけど出歩いてはダメ」では、これまでと何も変わらないことになります。何がどのくらい緩んだのか、それをどの程度でバランスさせなければいけないのかを言わなければ、まったく矛盾した話になってしまいます。

お互いが確認して理解し合わなければ、「あいまいな指示」や「矛盾する指示」は解消できません。

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