2021年4月22日木曜日

難しいのが当たり前と思う「自己管理」

ここ最近、お付き合いがあるいくつかの会社で、社員の健康に関する問題に続けて接しています。

 今回はこれまで多かった過重労働が大きな要因の心の不調ではなく、ほとんどが俗に生活習慣病などと言われる身体的な不調や持病によるものです。

 

あまり決めつけてはいけないですが、該当した人のすべてが独身一人暮らしの男性で、年令が30代後半から40代で何かしらの持病が出始めてくる年代ということで、つい日常生活の中で不摂生の積み重ねがあったのではないかと思ってしまいます。本人たちの食生活や運動習慣、睡眠、飲酒、喫煙の様子を聞いていると、やはりあまり健康的とは言えないところがたくさん見えてきます。

 

この人たちの上司はみんな、「本人の自己管理が足りない」などと言いますが、それが正論ではあるものの、ちょっと自分のことを棚に上げているようなところがあります。少し分野が変われば、その上司たちもたちまち「自己管理が足りない」と言われてしまうようなことがたくさんあります。

「自己管理」は間違いなく大切なことですが、それほど実践が難しいものです。

 

この「自己管理」をうまく機能させるには、ちょっと逆説的ですが「他人の力」が必要です。

例えば、家族から飲酒や喫煙の量を注意されていたりすると、本人は隠れて飲んだり吸ったりするなどいろいろな抵抗はするものの、やはりどこかで気にしていて総量は抑えられたりします。

ダイエット、運動習慣、様々な勉強、その他ちょっと辛いけど続けなければならないものはたくさんありますが、それを「自己管理」だけで達成するのはかなり強い意志がなければ難しく、周りからの支援、助言、監視、その他の人とのかかわりがあって、初めてそれが続けることができます。

 

最近はコロナ禍で在宅勤務をはじめとしたリモートワークが増えていますが、ここでも「自己管理」の必要性がよく言われます。

「自己管理」を信用していないと、上司による常時カメラ接続などの監視がおこなわれ、それが「リモハラ(リモートハラスメント)」などと言われていて、それはそれで問題ですが、すべて「自己管理」に委ねるなら請負制と同じような成果主義を考えなければならず、現状でそこまで割り切るのは難しいのが実際です。他人がかかわりながら「自己管理」を機能させることが必要になります。

 

「自己管理」には個人の性格による能力の差はありますが、それをうまく機能させるためには、やはり他人のかかわりが重要です。

これは監視したり指示したりすることばかりではなく、励ます、元気づける、愚痴を聞く、やり方を一緒に考えるなどの支援もありますし、「誰かのため」など自分以外を意識した大義が必要なこともあります。

 

「自己管理」が行き渡った組織は強いですが、その「自己管理」のためには、実は周りの人にかかわってもらうことの必要な場面がたくさんあります。

簡単にはできないのが「自己管理」であり、それを実践するためには他人の関与が必要だということを理解しておかなければなりません。

「自己管理ができていない!」という他者批判は、安易に発するといつか自分に返ってきてしまうと思います。

 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿