2014年5月23日金曜日

「会社のせい」でやる気を失う無意味さ


私がまだ企業に勤務していた頃、「なぜ会社はこんな風に人のやる気を失わせるようなことをするんだろう・・・」などと思うことがずいぶんたくさんありました。

待遇や評価などのありがちなことばかりでなく、ちょっとした情報開示の仕方、顧客への対応指示、お金の使い方、導入する設備、上司の素行、経営者の態度・・・。その他本当にいろいろです。
もちろん自分としては「こうした方が絶対に良い!」という考えがあって、その通りになっていて当たり前、もしも違うと「ああ、やる気がなくなる!」と思っていました。今思えばクレイマーみたいなものだったかもしれません。

現在の私は組織には属さず、独立して仕事をする立場になりました。人事コンサルタントという仕事柄もあって、いろいろな企業で働く方々に、ご自身の会社に関するお話を聴く機会があります。
多くの方々にお話をうかがいますが、そこには以前の私と同じように、「会社」「社長」「上司」が原因で「モチベーションが下がっている」「やる気が無くなる」とおっしゃる方が結構たくさんいます。

意外に多いのは、「あんなことに使うなんて無駄遣いだ」「経費節減をいうならこちらが先」のようなお金にからんだ話で、業績ノルマが厳しかったり、あまり調子が良くない会社の方が、こういう人が多いように思います。他にも「人には要求するくせに自分はできていない」など、経営者や上司に対する個人的な素行がらみの批判もよくあります。

確かに上に立つ者は、自分の言動も素行も律して行動すべきだとは思いますし、「他人に言うなら自分もやるべき」などとも思います。
ただ、私自身は立場が変わって、その会社の状況を客観的に見ることができるようになり、そこで昔の自分を思い浮かべながら思うのは、「自分のやる気を他責にすることの無意味さ」です。

やる気が出ない状態で仕事に向かうのは気が進むことではありませんが、会社や経営者や上司にとっては、そんな相手の気分のことは眼中にありません。もしもやる気が出ないせいで仕事の能率が下がったりミスを起こしたりすれば、会社や経営者や上司たち以上に、結局は自分自身が損をします。

私が最近感心することに、メジャーリーグの日本人選手や、海外チーム所属のサッカー選手たちの態度があります。
メジャー保障された他選手の契約との関係でマイナー落ちしたり、オプション契約行使で年俸が増えないように、先発復帰を見送られたり、監督の好みや相性など、決して合理的とは言えない理由で不本意な起用方法をされたり出番を失っていたりしますが、みんなそんなことに一喜一憂せず、自分のできることを淡々とこなして出番を待っています。まさにプロ意識ということでしょう。

もちろん自分からの働き掛けもアピールもするでしょうが、決して他者批判をせず、今置かれた状況の責任は自分にあると捉えています。その理由は、やはり自分のやる気やモチベーションを他責にしてしまうことの無意味さを良く知っているからだと思います。

会社勤めに不合理な部分があることも、そんなストレス解消のためには愚痴の一つも言いたくなる気持ちもよくわかりますが、少なくともそこには、「自分のやる気を他責にすることの無意味さ」ということだけは理解しておかなければならないと思います。


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