2014年8月18日月曜日

「バカンス中のメール自動削除」は日本企業でもできるのか?


あるニュース記事で、ドイツの自動車大手ダイムラーが、社員が仕事に関わるメールを気にせずに休暇が過ごせるようにするため、休暇中の社員宛てに届くメールを自動削除するシステムを導入したという話題を目にしました。

メールの送付元には「休暇中で受け取れない」との説明と、対応できる別の担当者の連絡先を知らせるメールが自動返信され、個別設定で特定の相手からのメールだけを受け取ることもできるとのことです。
社員は休暇中にメールチェックや返信をせずに済み、休暇明けにたまったメールをチェックする必要もなくなるということでした。

私がこの話題からまず感じたのは、「ドイツでさえもここまでの対応をしなければ落ち着いて休めないのか」ということでした。

最近は携帯電話やスマートフォンほかのモバイル機器、メールやチャットなどのITツールの普及により、どこにいても仕事ができて効率的という反面、時間や場所を問わずに仕事がどこまででも追いかけてくるようになってしまうということがあります。

私のように独立して仕事をしていて、スケジュールをすべて自分で決められる立場では、メリットの方が大きいと思いますが、組織に属して社員として働いている多くの人たちにとっては、仕事か否かのケジメがあいまいになり、実はデメリットの方が大きいのかもしれません。

日本の企業は休暇の消化率もまだまだ低いですし、長時間労働や休まないことを良しとするような風潮もまだまだ存在します。長期の休暇ともなれば、「休暇中も電話やメールに対応できるようにしておくこと」などと指示するような会社も、たくさんあるのではないでしょうか。
ITの進化で確かに便利で効率的にはなったものの、「きちんと休む」ということは、逆にやりにくくなった面があると思います。

さらにそんな日本ではなく、短い労働時間で効率的に働いて、休む時にはしっかり休むことが社会に根付いているドイツでさえ、IT活用によるワークスタイルの変化とともに、個人の時間に仕事が入り込みやすくなってしまっているということでしょう。

休暇中のメール自動削除は、日本人的な感覚で見ればかなり思い切った対応で、人によっては常識外れと捉えるかもしれません。
しかし、メールの相手には休暇中であることと、別の対応窓口を知らせる訳ですから、休みの社員がいた際に一般的に行っている対応と大差なく、単にそれをシステム化しただけということです。

さらに休暇中にもメール対応を求めた際の対応方法は、基本的にはすべて本人任せということになります。返信をするかしないか、いつするのか、どんな内容で返信するのかは、本人の判断次第でまちまちになるでしょう。
これをシステム化することで、個人差が出ないということでいえば、顧客に対してはむしろ誠実な対応と言えるかもしれません。

でも、もし仮にこれと同じことを日本でやろうとしても、現状では仕事の分業がうまくできておらずに属人化していることも多いので、なかなか簡単にはできないように思います。

こんなことを見ても、日本とドイツでの働き方の意識や環境の違いは、思った以上に大きいのではないかと思います。


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