2014年8月8日金曜日

決めるまでにかかる時間の差


人材関係のビジネスをされている方と最近話している中で、私も同じように感じたことがありました。

企業支援を人事や人材開発、組織といった切り口でしようとしたとき、その窓口になるのは中小企業であれば経営者自身か担当役員クラスの方々が多く、中堅から大手企業となると、人事部門をはじめとする管理部門のどこかのご担当者になります。

人にまつわる課題というのは、組織の中では幅広く存在するので、関係する部署は複数にまたがることがほとんどです。
私がたずさわっている内容でいえば、人事施策の企画や人事制度という切り口ならば、経営企画部門や人事部内の制度担当、研修などの取り組みであれば人材開発部門や研修担当、採用に関わることであれば採用担当などということになります。
このあたりは企業規模が大きくなるほど担当が機能別に細分化され、新卒採用と中途採用は担当が違うとか、研修の内容によって主管部署が違うとか、組織体制上の違いがさらに出て来ます。

そんな中でお話を進めていると、「いつまで経っても決まらない」「誰も決めようとしない」という状況に比較的頻繁に遭遇します。例えば、新卒採用からその後数年の人材育成の話を、ストーリー性を持って話そうとしても、「そこは担当外だから自分では判断できない」などとなってしまうのです。

これが中小企業の場合であれば、そこまで機能化された組織にはなっていませんし、窓口として接するお相手はまさに最上位の決裁者なので、そういう状態に陥ることはほとんどありません。
また、外資系企業の場合は、各ポジションの責任者の権限が大きく、線引きもはっきりしているので、キーマンがOKしさえすれば、話はどんどん進みます。

ただ一般的な企業で、ある一定規模を超えたようなところでは、なかなかそうはいきません。担当者は「自分だけでは判断できない」と言って上位のマネージャーに話が行き、そのマネージャーも「自分だけでは判断できない」さらに上席の管理者に話が行き、場合によるとさらに上の役員クラスまで話が行ったり、そうなると今度は役員や管理者が現場の状況をつかんでいないため、「現場はどう考えているのか」などと差し戻しで意見聴取がされたりします。

担当者は意見を述べる材料集めのために、私たちに事例などの情報提供を求めますが、良く言えば慎重、悪く言うと保守的過ぎるところがあるので、あまり新しい取り組みをしようという雰囲気にはなりません。

そしてそんなやり取りをしているうちに、時間ばかりがどんどん経過していき、私たちもどこかで提案をあきらめたり、一時的にアプローチを止めたりします。その結果、課題に向けた取り組みは、“検討中”の名のもとに先送りされます。

もちろんその後も検討は続けられ、何らかの取り組みがいつかは実行されますが、それが決まるまでの時間の差は、決定が速い会社と比べると、ビックリするほどの違いがあります。
ただ、その一連の動きに関わっている当事者は、きちんと手続きを踏むことに注力していて、“遅い”という自覚がないことがほとんどです。

特に大組織で、なおかつ顧客と直接接することが少ない管理部門となると、ともすれば仕事のスピード感があまりに遅いと思われることがあります。
慎重に手続きを踏むのは必要なことですが、決めるまでにかかる時間が適切かどうかは、今一度意識する必要があると思います。


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