2016年6月24日金曜日

「うまくいった経験」よりも「挫折や失敗の経験」が大事



採用面接をしていると、そこは基本的には自己アピールの場ですから、多くの応募者は自分の得意なことや、過去の成功体験の話をします。それは当然のことだと思います。そのために、時間をかけて、自分の成功体験を語れるように準備をしてきます。

しかし、最近いくつかの会社で同じことを言われたのは、「挫折経験や失敗体験を持った人に来てほしい」という話です。
これは、新入社員から社長の後継者候補まで同じことを言われますので、人材のレベルに関係がない共通の要件なのだと思います。

その話を聞いていて、私の経験上でもその気持ちはよく理解できます。
成功体験というのは、そのプロセスを聞いていて、途中の努力などで評価できることはたくさんありますが、それがまったく別のステージで再現できるかは、何とも言えないところがあります。

これに対して挫折や失敗は、それを初めから想定していることはほとんどないと思われ、それ自体が突発的に起こったことへの臨機応変な対応につながる部分があります。
それを克服した経験があれば、それに越したことはないのでしょうが、多くの会社に聞く限りではそこにこだわりはなく、これを他人に語れるようになっていること自体が、すでに次への活かし方を見つけられていると評価しています。
それが解決できたかどうかというよりは、「自分の思い通りにいかないことに向き合った経験」が、一番大事だということです。

最近の若者は打たれ弱いなどと言われ、確かにそうだと感じることはありますが、その理由の一つに「周りの大人たちが失敗をしないように仕向けるために気をつかっている」と思うことがあります。

これは、今の少子化の環境では仕方がないところではありますが、失敗体験が少なければ一度の失敗で感じるショックは大きくなり、大きなショックであればあるほど、そこから立ち直るのが大変になります。

では、今の若者に失敗体験がないかと言えばそんなことはなく、「失敗体験は?」と問いかけると、みんなそれなりの体験を持っていることが多いです。受験の失敗、部活での失敗、友人関係の失敗、その他いろいろです。たぶん嫌なことはできるだけ忘れるようにして、あえて向き合わなかっただけのように思います。

もしもこれから採用面接に向かう予定がある人がいるならば、成功体験に基づく自己アピールだけでなく、失敗や挫折の体験も語れるようにしておくとよいと思います。そこでは失敗を克服した話も、それに立ち向かった話も必要がありません。
まったくダメだった経験、逃げ出した経験、何もできなかった経験が、将来性につながることとして評価されることがあります。

自分のことを客観的に語れる人は、どんな場面でも強いと思います。


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