先日の金曜日は、15時退社が奨励される「プレミアムフライデー」が初めて実施されました。実際に退社時間を前倒ししたという民間企業はまだまだ少なく、浸透度はいまいちという感じではありますが、それでもその恩恵を満喫した人、忙しい思いをした人、何も変わりがなかった人など、いろいろだったようです。
この「プレミアムフライデー」は、働き方改革の流れで語られることも多いですが、そもそもの旗振り役は経済産業省なので、どちらかといえば、やはり消費の喚起、経済活性化という意味合いが強いように思います。
そういう面から考えると、その時間を使って今までやらなかった新たな行動をするかといえば、あまりそういう感じではなく、土日で混みそうな場所に前倒しで行くとか、早めの飲み会で早く帰るとか、消費の時間帯が変わるだけで、全体規模の広がりにはなかなかつながりづらい感じがします。
個人的にそんな印象を持っている中、あるテレビの情報番組でこんな話題を取り上げていました。
それは、まだ週休1日だったころから週休2日制に移行し始め、それが定着してきた25年前の1972年に、内閣府がおこなった「週休2日・余暇に関する世論調査」というものです。
それによると、「もし休日が増えるとすれば、“週休が2日になる”と“まとまった休暇がいつでもとれる”とでは、どちらがよいと思うか?」という質問に対して、「まとまった休み」との回答が39.6%、「週休2日」が29.9%、「わからない・その他」が30.5%とのことでした。週休2日は必ずしも肯定されていない結果です。
さらに、「余暇とお金では、(しいていえば)どちらが欲しいと思うか?」には、「お金」が49.2%、「余暇」が18.2%、「一概には言えない・その他」が32.6%となっているとのことでした。
番組の中では、「今この調査をしたら、いったいどんな結果が出るのだろうか」と結んでいました。
この話に少し興味を持ち、他の設問も含めた当時の調査結果を調べてみましたが、全体的なニュアンスは、「働き過ぎは自覚していて休みも多少増えるに越したことは無い」が、「別に今のままでもそれほど困らず、休みや余暇を熱望している訳ではない」「休みよりはお金」「余暇はレジャーより休養にあてたい」という感じでした。
ここで私が思ったのは、もしも今これと同じような調査をしたとして、見えてくる結果は実は当時とあまり変わらず、「多少休みが増えればそれに越したことは無いが、仕事にしわ寄せがいくのも嫌だし、おおむね今のままでもよい」となるのではないかということです。
ただし、前提は今と当時ではまったく違います。
当時の方が、確実に労働時間は長く、休日も少なかったはずですが、週休1日が普通で当たり前のことだったので、特に違和感は抱いておらず、今より少しマシになればよいという程度の感覚だったのだろうと想像ができます。
ここで、例えば今、「まとまった休みが取れる代わりに週休2日を廃止する」と言われたら、それを認める人はかなりの少数派でしょう。週休2日はもうすでに、当たり前の前提として定着しているからです。
そして、今は当時よりも労働時間は短く、休みも多くなっていると思いますが、だからといって「余暇や休みはもう十分満足」という答えにはならないでしょう。
その反面、大きく変わってほしいとも思っておらず、やはり当時と同じように「今より少しマシになればよい」という感覚になるのではないでしょうか。
ですから、「プレミアムフライデー」についても、今は「国が口を出し過ぎ」とか、「効果がないのではないか」と言った批判の声がありますが、これが定着していったときにどうなっていくのかを見極めていく必要があると思います。
最終的には、これを前提に予定が組まれるようになり、「なくなっては困る」となるのか、あまり活用されることがなく「有名無実で意味がない」となるのかのどちらかですが、この答えが出るまでには、まだしばらく時間がかかります。
今はあまりとやかく言い過ぎずに、経過を見守る必要があると思います。
当初は批判的に見ていた私ですが、過去の調査結果を見ると、いつの間にかそれが定着して前提になっているような気がし始めています。
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