ある調査で、自治体病院の看護職員の4割の人がパワハラを、2割がセクハラを受けた経験があるとする調査結果が公表されました。
「上司から受けた」が最多で56%。次いで「医師から」が32%、「同僚から」が13%と続き、「患者、患者の家族から」は合わせて14%でした。
7割以上は仕事にやりがいを感じていると答えた一方、8割近くが「仕事を辞めたい」と答え、最も多い理由は「人員不足で仕事がきつい」とのことでした。
つらさの中には、ハラスメントの問題が大きく影響しているように思われます。
セクハラ、パワハラ、その他ハラスメントと言われるものは、最近事例を増やしてしています。些細なことでもハラスメントだと指摘されて、納得できないという声も聴きます。
ハラスメントというのは、相手の感じ方の問題なので、行為を指摘された側が「納得できない」というのも仕方がない面はありますが、それが「いけないこと」というのは、きちんと理解しなければなりません。
この「ハラスメント」が起こる背景として、それを引き起こす前提となるのは、お互いの間に「上下関係があること」だといいます。
最近は、部下から上司へのハラスメントがあるといいますから、単純な見た目だけではわからないこともありますが、「お互いの力関係の差」がハラスメントの要因であるのは確かです。
前述の調査結果であれば、「看護師が下」と見ている患者や医師がいるということであり、さらに最近の状況からすれば、無条件に「部下を下」と見ている上司や、「店員や業者を下」と見ている消費者や発注者が大勢いるということになります。
「ハラスメント」については、多くの会社で問題意識が高まり、その防止のために様々な対策が行われていたりしますが、この「上下関係」のような認識が原因だとすれば、考えなければならないことがたくさんあります。
一方的な優越感や相手を見下すような意識を抑えなければなりませんが、そうなってしまった理由を考えなければなりません。
サービス業の中であれば、やはり過剰といってもよいサービス提供があって、それを顧客が勘違いしてしまったことがあるでしょうし、企業の中のことであれば、そもそも上昇志向をあおって、上下関係で上に立つことをインセンティブとしてきたところがあります。
会社に限らず、いま構成されている組織の多くは、その中に必ず上下関係を含んでいますから、ほぼすべての組織が、ハラスメントを誘発する土壌を持っているといえます。
ここからすれば、世の中で起こる様々なハラスメントを防ぐには、過度な「上下関係」に陥ることを避けるという方法が重要になります。「偉い」「偉くない」「強い」「弱い」といった関係が助長されるほど、ハラスメントが起こりやすい環境になります。
一定の上下関係や、上下のケジメは、私は必要だと思いますが、その考え方がどこかでハラスメントにつながっているかもしれないことは、認識しなければなりません。
上下関係や力関係だけで相手を動かそうとしても、それは難しい環境になってきています。
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