2019年11月11日月曜日

他人のアイデアは愛せないからダメ出しをするという話


先日「イノベーションを生み出すには」という講演を聞きました。世界の中での日本は、イノベーションが生まれない状況が顕著だそうです。

イノベーションというのは、そもそも変わったことやおかしいこと、世の中にないことに取り組む仕事なので、社内の支援体制が脆弱になりがちだそうですが、日本で生まれにくい理由として、その時の話では、日本企業は「男性的文化」が強く、完璧主義で不透明さを嫌うところがあるからとのことでした。どんな良いアイデアでも、確実な見通しが立つまで認めないということでしょうが、そんな確実な見通しが立つものは、とてもイノベーションとは言えません。
さらに「世代間ギャップ」が大きいことにも一因があるとのことでした。若手の意見を取り上げなかったり、アイデアをつぶしてしまったりするのでしょう。
そういわれると、新規事業やイノベーションに取り組み責任者が、女性だったり若手だったりする会社の話を聞くので、そういう部分を避けようとする意図からなのかもしれません。

そんなイノベーションに対する抵抗を抑える方法の一つとして、「アイデアをみんなで一緒に考えること」が大事だそうです。それは、自分の子供はかわいいが他人の子供はそうでもないのと同じで、自分のアイデアには愛着や思い入れがあるが、他人のアイデアはそこまで愛せないからだといいます。ついダメ出しや却下に傾いてしまいますが、それをみんなの我が事にすれば、潰されないで済むことが増えるのです。
「発明は一人でできるが、イノベーションは一人ではできない」と言っていました。

私は企業の人事制度構築で、同じような体験をします。検討に参加している人たちの間では、十分に納得されているものが、そこに参加していない人からは、苦情やクレーム、その他マイナスの指摘が多くなります。そんな苦情やクレームを持つ人を検討プロセスに参加させると、結論は結局同じということが多々あります。みんなで分かち合えば納得ができるのです。
こんなことから、実は制度の検討結果より、その前段での「検討チームのメンバー構成」の方が、よほど重要だったりします。

何か新しいことを進めようとすると、特に日本企業の場合は抵抗が多い感じがします。すでにあるものを徹底的に磨く“改善”の方が得意だともいいます。
ただ、この時のイノベーションの話で一番印象に残ったのは、「ロウソクの明かりから電気の照明に変わったのはイノベーションだが、いくら改善を進めて完璧な最高のロウソクを作っても、しょせん照明には勝てないという話でした。既知の物事の改善だけでは限界があるのです。

技術でも、組織でも、会社でも、新しいことを怖がらず、見切り発車でもとりあえず進めていくような姿勢がないと、結局進歩しないのだと思います。


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