2020年6月18日木曜日

業務時間中の「サボり」はそんなに悪か


リモートワークの中で、上司の過剰な監視行為が「リモハラ」「テレハラ」などと言われて、問題視されるようになっています。
「サボっていないか」などと頻繁にメッセージを送って、すぐにレスポンスがないことを叱責したり、ウェブカメラでパソコンに向かっている姿が常時映るようにさせたりということがあるようです。

システムで着席と離席を管理したり、仕事中の画像を自動でランダムに上司に送信したり、一定時間マウス操作が止まると上司に通知がされるといったツールもあると聞きます。こんな投資をするほど、監視を重視している会社があるということでしょう。
ここまでしないマネージャーでも、「きちんと仕事をしているだろうか」と不安に思うことはあるといいます。

とにかく「サボらないように」ということですが、そもそも仕事中の「サボり」は、そこまで悪いことで、徹底して撲滅しなければならないのでしょうか。

「サボり」を徹底的になくさなければならない職種は確かにあります。工場の生産ラインなどはまさにそうです。
時間当たりの生産数が明確な指標で決められているので、決められた業務時間内に決められた作業を、サボらず確実にこなさなければ、計画した製品は出来上がらず、品質を保つこともできません。一人でもサボって手を止めることは許されませんから、とにかく仕事のプロセスをしっかり監視しなければなりません。

逆にそれ以外の仕事で、時間と成果物の量や質が、そこまで明確に紐づいている仕事は、それほど多くはありません。わりと定型的な事務処理であっても、単位時間当たり書類何枚といった計算にはなりません。毎回処理量や内容が違っていたり、個人の処理能力にも違いがあります。

途中経過でどんなにサボろうが、結果が出ていれば問題ないという考え方もあります。
グーグルの本社には、オフィス内にマッサージルーム、サッカーやバスケットボールのコート、トレーニングルーム、ゲーム機やビリヤード、プール、仮眠室といったものまで用意されており、社員は自由に利用できます。もちろん仕事の合間の好きな時間帯で問題ありません。
仕事の成果はきっちりと問われますが、そこに行きつくまでの時間の使い方は、本人にかなり任されています。

こうやって見ていくと、業務時間中の「サボり」を監視しなければならない職種は、実はごく一部の限られたものだということがわかります。
日本企業のマネジメント方法は、かつて主力産業だった製造業のノウハウに影響され過ぎているといいますが、プロセスを監視したがる点も、そんなところに一因があると感じます。

そもそも「サボりとは何か」という定義の問題もあります。
「休憩」「息抜き」「気分転換」などと言い換えれば、業務時間中に仕事をしていない状態でも「サボり」とは言われません。違いは「手を休めることを事前に宣言したか」程度のことです。
ときどき問題になる「勤務時間中の喫煙」も、よほど長時間の離席でもない限り、「サボり」と言われることはありません。でも業務時間中に仕事をしていない状態なのは変わりません。
実は今までも、みんなそこそこ「サボり」ながら仕事をしてきたのです。

業務時間中に、俗に言う「サボり」をしたことがない人は、私はほぼ存在しないと思っています。1日8時間の勤務時間だったとして、そのすべてを集中して仕事に取り組み続けることは、はっきり言って不可能です。
気分を緩めたり、休んだりという時間をはさみながら、目指す成果が出せるように時間を使います。その中には、他人から「サボり」と見える時間もあるでしょうが、その人にとっては成果を出すうえで必要な時間です。

正真正銘の「サボり」はダメですが、それは仕事の結果を見ればわかります。見張っていないとサボる人は確かにいますが、その人だけを集中的にチェックすればよいことで、全員同じように見張る必要はありません。リモートワークになって、逆に部下の主体性がわかりやすくなったという話も聞きました。

「サボり」は絶対あるものと割り切って、仕事の成果を見ることに集中した方が、マネージャー自身の仕事もはかどるようになると思うのですが、今はまだ少し難しいのかもしれません。

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