2020年6月4日木曜日

環境が変わると違った姿や能力が見える


ある会社のマネージャーと久しぶりに会い、こんな話になりました。

隔日出社の残り半分が在宅勤務となり、部下への在宅での業務指示をするにあたって、どんな仕事をしてもらおうかを結構いろいろ悩んだそうです。

安易に「勉強しておいてね」などということでなく、それまで日常に追われて後回しになっていた資料整理とか、業務改善の検討とか、新しいサービス企画とか、きちんと実務上の意味があり、なおかつ家でできることを考えました。



そうやって在宅勤務をやらせてみると、今まで会社内で見ていた部下たちの仕事ぶりとは、まったく違った一面が見えてきたそうです。

多くの人が言うのは「自己管理ができてきちんと仕事の成果が出せる人と、そうでない人の差がはっきりした」といったことですが、それ以上に部下たちの様々な適性や可能性が見えたといいます。



例えば、業務改善の企画提案を求めたとき、ある一人の部下から、自部門の範囲だけでは収まらない事業展開に関する提案が出てきたそうです。「自部門ではこういう取り組みから始めるべき」と、自分たちの役割も前向きに考えていました。

社内で関係する管理職数人にその内容を見せたところ、みんなが前向きな提案だと評価していました。提案した本人としては、こういうことは常に考えていたものの、話が大きすぎて部門内にとどまらないので、誰に言えばよいのかわからなかったし、言い出す場もなかったとのことでした。

マネージャーは、この部下がこういう広い視野を持っていることには気づいていなかったそうです。



また、社内では与えられた仕事を真面目に確実に淡々と、しかしちょっと手は遅いかも、という部下がいたそうですが、在宅勤務では与えたテーマだけでなく、そこから自分なりに関連することを見つけ出し、多くの資料整理と、自分なりに考えた仕事で活かせる様々な生産物を作り上げたそうです。

どうも会社内では日常的に決められた定型業務に追われていて、自分なりのペースで何か打ち出すことができていなかったようです。テーマを絞り、そのための時間を与えることで、この人の発想や仕事の丁寧さが発揮され、実は自己管理能力と事務処理能力が高いことがわかったということでした。



適材適所といいますが、本当にいろいろな環境の中で、いろいろな条件で仕事をする機会を与えなければ、本当の意味での適材適所はわかりません。



私は以前、ある会社のリーダーにこんな話をしたことがあります。

仕事はできる人でしたが、態度が横柄でちょっとしたことで部下を馬鹿にする傾向がありました。

そのリーダーに、

「今この会社のこの環境ではあなたがリーダーという役割だが、それはたまたまこの環境に適応していただけで、人として優れているわけではない」

「もし環境が変わって、例えば食糧難になって、部下の畑は豊作で、あなたの畑は作物が取れないかもしれない」

「リーダーという役割を担っても、メンバーへの尊敬を忘れてはいけない」

というようなことを言ったと思います。



しかしリーダーの態度はその後も変わらず、話した効果はありませんでしたが、ある時顧客に対する不誠実な対応が発覚してしまい、リーダーからは外され、部下は取り上げられ、閑職に追いやられてしまいます。

環境が変わると自分だけでは何もできず、仕事上の成果もほとんど出せなくなりました。「反省した」とは最後まで言いませんでしたが、心のどこかで「やり過ぎた」「間違った」と思うことはあったのではないでしょうか。



いずれにしても、環境が変わるとその人の違った一面が見えてきます。今できていると自信を持っていることは、あくまでその環境あってこそであり、反対にうまくいっていないことでも、環境が変わればまた状況は変わります。変わる方向は良いことも良くないこともあるでしょう。

新型コロナには恨みしかありませんが、降りかかってきた環境変化が、いろいろな効果を生むことがあります。




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