2020年9月28日月曜日

「自分で何とかする意識」が強すぎる気がする若い世代

ときどき電車の中で見かける光景ですが、つい先日も座席に紙屑のようなゴミが落ちていて、ある若い女性が拾って自分のカバンにしまっていました。たぶん後で捨てるのでしょうが、いろんな人が気づいているのに見て見ぬふりをしている中で、こういう行動ができるのは素晴らしいと思います。

 

電車の中をペットボトルが転がっていて、それを拾って下車する大学生くらいの男性がいましたし、忘れ物の傘をわざわざ駅員に届ける若い男女のカップルもいました。どれもみんなが知らん顔で放置してしまいがちなものです。

 

ある年配の男性が財布のようなものを落として気づかずに下車してしまったのを、見た瞬間に拾ってダッシュで追いかけた若者がいました。発車間際だったのでそのまま電車のドアは閉まってしまい、彼は再乗車できませんでしたが、ホームで落とし主から何度もお礼されている姿が見えました。私も落としたところは見えたので、たぶん届けようとしたとは思いますが、その時の自分の予定とか、あとから駅員に届ければいいとか、そんなことを考えてしまって、あんな瞬時に行動することはできなかったでしょう。

 

多少の印象の偏りはあるかもしれませんが、こういうことで私の目につくのは、ほぼすべてが20代から30代前半くらいまでに見える若い世代の人たちです。もちろんすべての若者がそうではないですが、自ら行動する人には若者が多いと感じます。私も含めた年令が上の世代は、男女ともに見て見ぬふりや知らんふりする人がほとんどです。

 

こういう行動について、若い世代に話を聞いてみると、何人かから言われたのは「どうせ誰かがやらなければならないのだから、気づいた自分がやればいい」「人任せにしないで自分がやった方が早い」「自分が気になれば自分で解決するだけのこと」などという話でした。他人のせいにしないで自分で行動する姿勢です。

 

ただ、こんな話を含めて、最近の若者たちを見ていて感じることがあります。それは、「自分のことは自分で何とかする意識」、すなわち“自己責任”の意識が強すぎるのではないかということです。

ある会社であったトラブルですが、若い担当者からの報告が遅かったことがトラブルを大きくする原因となってしまっていました。しかし、あとからわかったのは、とにかく自分のミスなので、上司や先輩に迷惑をかけずに何とか自分だけで解決しようと動いた様子でした。

「上司に怒られたくない」などという気持ちは一切なく、ただひたすら「自分のことは自分で」「他人に迷惑をかけてはいけない」という一心だったようです。

 

最近の新人研修では、何かの課題に関して「お手本はないか」「マニュアルが欲しい」といわれることが多いですが、これも単なる依存心ではなく、「調べられることは自分で調べる」「自分のことで他人の手を煩わせたくない」という自己責任の意識があるように見えます。

また、「失敗を恐れる若者が多い」と言われますが、これも「自分の失敗で他人に迷惑をかけたくない」という自己責任意識を含んでいるように感じます。

 

実際にこういう傾向があるのかどうかを調べていると、立命館大学社会学部の富永京子教授の記事の中に、「特に今の若い世代は社会に広がる自己責任論の洗礼を受けてきた人が少なくなく、何かと“自分のせい”にしがちな傾向にあるように思う」と書かれていました。「もっと社会や環境のせいにする視点は必要」とのことで、私も今の若者を見ていて「もっと周りに頼ればいいのに」「もっと他人をつかえばいいのに」と思うことがあります。

 

記事の中には、「日本人は成功と失敗どちらも自分のせいにしたがり、たまたま運がよかったから成功したとか、環境が悪かったから失敗したとは、あまり考えない」という話がありました。自己責任は、若者に限らず日本社会全体の傾向なのかもしれません。

他人にあまり自己責任を求めず、お互いが気軽に頼り合い、支え合っていける社会になればよいと思います。

 

 

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