あるところで、「ノルマ」「目標」について書かれた記事を目にしました。
その記事では、仕事をする上では何をどこまでやるかという基準が必要で、それがなくてはかえってモチベーションを低下させるという話でしたが、そのことについては私も同感でした。
ただ、「ノルマ」という言葉に対しては、何となく良いイメージが持てず、実際に自分が誰かに業務指示をするような、仕事の場面で直接使ったことはたぶんありません。
他にも調べてみると、「ノルマ」「目標」について書かれたものは思いのほか多く、その内容としては「目標」は好ましく「ノルマ」はそうではないとか、どちらも同じことだとか、言葉が違うのは意味が違うから、場によって使い分けるべきだとか、いろいろな見解が提示されていました。
どれもそれなりに納得できる内容でしたが、ちょっと自分なりに言葉の意味を調べてみました。
まず、「ノルマ」について書かれていたのは、
1.一定時間内に果たすよう個人や集団に割り当てられる標準作業量。
2.各人に課せられる仕事などの量。
などとされており、これに対して「目標」の方は、
1.そこまで行こう、成し遂げようとして設けた目当て。
2.射撃などの的。
3.目じるし。
などとされていました。
これを見る限りでは、「ノルマ」の方が仕事をする場面での表現としては適切なように思えますが、ここには一つ注釈があり、「第二次大戦後のシベリア抑留者が伝えた語」とありました。
いかにも一方的に、無理やり押し付けられるような言葉のイメージは、どうもこのあたりから来ているようです。
ついでに言い換えられる類似語を調べたところ、「ノルマ」の方は“割り当て”“タスク”など、「目標」の方は“目当て”“目途”“狙い”“ターゲット”などとありました。
おおむね同じことを言っているようでも、微妙な意味は少しずつ違っていたり、ほぼ同じ意味でも言葉から受けるイメージが異なっていたり、私は意外に大きな違いがあるように感じました。
このような、言葉から受けるイメージの違いというのは、例えば今は「メンタルトレーニング」などという言葉がありますが、“メンタル”という言葉がまだあまり使われなかった頃であれば、それは「精神力を鍛える」などとなりますから、今となっては受ける印象にかなりの差があります。
実はこういうことは、企業の人事制度などを作る際にもかなり意識をしていることです。“評価”と“考課”と“査定”は少しずつ意味が違いますし、“昇格”“昇進”“ランクアップ”も同じく違いがあります。
ここで、明確に意味の違いがあり、それをはっきりさせる必要があるのであれば、言葉を使い分ければよいことです。ただ、言葉のイメージというのは、本来の意味からずれている場合がありますし、似通った意味であっても、イメージが違うこともあります。
これはある人から聞いた、あくまで主観ですが、“査定”は一方的に上目線で決められた感じがし、“ランクアップ”は、形式的ではなく自分の本当の実力が上がったイメージがあるのだそうです。
どんな場面でどんな言葉を使うかは、とても大切なことだと思います。
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