2016年10月17日月曜日

評価制度を廃止する会社が増えているという話



人事制度の中でも、「評価制度」は特に重視され、制度の中心に位置づけられている企業も多いと思います。私が頂く相談テーマでも、評価制度に関わるものは、相変わらず多いですが、ここ数年、外資系の有名企業では、年次評価や等級制度、その他社員の評価に関わる制度を廃止する動きがあります。

その理由として挙げられているのは、以下のようなことです。
・業績と評価の関連性が薄い。
・多くの時間や手間、人件費をかけるだけの価値がない。
・社員間の連携を妨げるなど、仕事への取り組み意欲が低下する悪影響がある
・評価者(上司など)の主観など、公平性や客観性が確保できない。

外資系企業では、相対評価で社員を評価し、そこで最低評価になると解雇されるような企業も数多くあるので、日本の企業よりもさらに社員の不安が大きいところもあります。

こんな中での近年の動きで、例えば半導体大手のインテルでは、これまで「極めて優秀」から「要改善」までの4段階で全社員を評価、ランク付けしてきましたが、社員の7割は下から2番目の評価である「目標達成」を受け、その社員の多くは士気が低下する傾向にあったのだそうです。

これを、評価をつけずに仕事に関するフィードバックだけを実施するなどの試行錯誤を行った結果、これまでの評価制度は廃止することとなったそうです。評価をつけなくても、成績を区別して報酬は決められるということだそうです。
評価制度を廃止する企業に共通しているのは、社員をランク付けすることや複雑な評価用紙などの使用を止め、かわりにマネージャーから社員へのフィードバックやコミュニケーションをとる時間を増やしていることです。

評価制度の問題点として挙げられたことは、どの会社にも当てはまることですが、日本企業の中で、評価制度を止めようとまで考えているところは、まだまだ圧倒的に少数派だと思います。
「目標管理制度(MBO)」や「成果主義制度」などの昨今の制度について、決してベストとは思っていないものの、他に良い方法も考えつかないため、何とか微調整をしながら運用し続けています。

ただ、実際の現場を見ていて、人事評価に膨大な手間と時間をかけている割には、ただ「報酬を決めるための儀式」になっていて、社員のモチベーション向上にも、全社のパフォーマンス向上にもつながっていないと思うことは、一部の会社だけで起こっているようなことではありません。

もちろん、外資系企業と一般的な日本企業とでは、組織のバックボーンも過去からつながっている経緯も違うので、一概にマネをすればよいということではありません。
ただ、かけているコストに効果が見合わず、制度の目的からは離れてしまっているのであれば、ゼロベースで見直すという考え方があっても良いと思います。

これからは「評価制度の見直し」とともに、「評価制度のやめ方」という相談も、徐々に増えてくるのかもしれません。

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