2016年10月21日金曜日

働き方改革の一方で、残業がしたい社員、長時間労働が苦でない社員



政府主導の「働き方改革」の取り組みをはじめとして、最近起こってしまった大手広告代理店での過労自殺の問題などもあり、特にこのところ長時間労働の是正に関する話題が数多く取り上げられています。

最近の企業側の取り組みは、残業の申請制や一定時間以上の残業禁止といった一般的なものだけでなく、以前はそれほど多くなかった強制的な消灯や定時以降のシステム停止など、わりと強硬な施策が取られることも増えてきたように思います。
このあたりは、適切な業務量の調整や、本当の意味での作業効率化などと合わせておこなっていかなければ、業績低下やミスの横行、さらにサービス残業の温床になる懸念もあり、実施していくには慎重さが必要なところではありますが、企業側の危機感は、それほど高まってきているということも言えるのでしょう。

長時間労働や残業に関することで、問題とされるケースの多くは、企業側に労務管理上の問題があり、長時間労働やサービス残業を会社が強いているような構図であり、昨今の状況を見る限りでは、確かに会社側の問題の方が大きいのだろうと思います。

ただ、ここ最近はずいぶん減ってきたとは思うものの、残業削減に取り組んでいる中で出くわす存在として、「残業がしたい社員」や「長時間労働が苦でない社員」がいます。

なかなか思うように昇給しない昨今の環境からすれば、手っ取り早く収入を上げる方法は、残業することとなってしまうので、それを目的とした「残業がしたい社員」というのは、今でも一定数は存在します。
生活残業というのは、どんな人にも多かれ少なかれあるのだと思いますが、残業代が生活給の一部と化していて、毎月の仕事量にかかわらず、コンスタントに残業をする人がいます。
管理者からそのことを指摘されれば、その場は従いますが、許される最大の残業時間で、何とかつじつまを合わせようとします。月30時間以上は申請制などといわれれば、毎月29時間くらいで調整していたり、繁忙期で管理が緩められたりすれば、ここぞとばかりに残業をします。

また、「長時間労働が苦でない社員」も、コンスタントに残業しているという見え方は同じですが、仕事に多くの時間を費やすことによる疲労や集中力の欠如というような感覚が鈍いので、とにかく仕事が効率的ではありません。
ただ、決してさぼっている訳ではなく、常に何かを忙しそうにしているので、上司からは指摘がしづらい状況にあるようです。いかにも忙しそうに一生懸命仕事をしている部下に対して、「それは無駄だ」などというのは、よほど非効率な様子が具体的に見えなければ言いづらいということでしょう。

会社と社員が「労働時間を減らそう」と同じ方向を向いている場合であれば、業務分担の調整など、一般的なマネジメントの中で対応することができますが、「残業がしたい社員」や「長時間労働が苦でない社員」など、長い時間働きたいと思っている社員、働くことが当たり前になっている社員を働かせないように管理するのは、これがなかなか難しいことです。

こんな個人の職業観もかかわってくる「働き方改革」は、なかなか一筋縄ではいかないところがあります。サービス残業も生活残業も、働く時間数と賃金の関係が密接過ぎることで起こる弊害なのかもしれません。


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