2016年10月3日月曜日

よく考える必要がある「何を学ぶか」と「どう学ぶか」の関係



「起業セミナーに関するトラブル」が増えているという話題を目にしました。
きちんと運営されていて、内容が充実して有意義なものもあるとは思いますが、トラブルが増えているということは、そうではないものがたくさんあるということでしょう。
高額な受講料を請求するものもあるそうで、受講する側も注意する必要があるようです。

起業セミナーということでは、そのために必要な知識、スキルを得たいという場合もあるでしょうが、どちらかといえば、経営の成功につながるようなノウハウを得ることが受講の目的という人が多いのではないでしょうか。

この手のトラブルというのは、そのセミナーで提供されるものと、受講者が得られると期待しているものがずれている、費用対効果の価値がずれているということが大半ですが、起業や経営などといった対象の場合、何か具体的なスキルを学ぶような内容でない限り、セミナーから得られる成果があいまいになりがちです。

成果があいまいだと、過度な期待をしたり、業者側が過剰な宣伝をしたりという問題が起こりがちです。中には、お互いの誤解が混じっていることもあるのでしょう。
こと経営ということでは、そこに影響する変数的な要素は、それこそ膨大にありますから、そもそもセミナーで教わる程度のノウハウで、簡単に成功するほど甘いものではありません。

ここで考えたのは、「何を学ぶか」と「どう学ぶか」の関係です。
例えば、語学などであれば、目指す成果は「話せるようになる」などはっきりしているので、あとはそれをどうやって学ぶかという方法の問題だけです。

英会話学校などは世の中にたくさんあり、学校の評判、教師の評判などはいろいろありますが、自分が上達しないのは「あの学校のせい」「あの先生のせい」などという人は、あまり見たことがありません。やはり自分の方に問題の大半があると考えるからでしょう。
動かない位置にゴールがあるので、後はそれを目指して、自分なりの学び方を考えるしかありません。学校、独学、個人指導、留学、その他の中から「どう学ぶか」を考えていきます。

その一方、起業、経営などとなると、目指す成果はその中の要素ごとにバラバラです。会計や法律などの知識もありますし、ビジネスモデルや事業そのものに関すること、営業や人事といった組織運営の話もあります。そして、それらはすべて市場や景気動向、業界事情などの外部要因に左右されますので、その時その時の状況によっても、できること、やるべきことには違いがあります。「経営」という中では、常にゴールが動き回っているようなイメージがあります。

そうなると、「何を学ぶか」によって、「どう学ぶか」は変えていかなければなりません。もちろんセミナーで学べるものはあるでしょうし、事情をよく知った人から個別にアドバイスを受けた方が良い場合もあります。書籍や独学が適した場合もありますし、他人から学ぶのは難しく、自分で考えるしかないこともあります。

これは企業の人材育成でも同じで、何でもかんでもOJTではなく、費用、場所、時間、効果を考慮し、あるテーマはこうやる、別のテーマではこうするなど、そのテーマによって育成方法をアレンジします。

起業セミナーのトラブルは、たぶんセミナー形式の学び方がふさわしくないテーマを扱っていたり、それをあたかも身に付くがごとく宣伝しているような業者がいたり、教え方が悪かったり、そこに何でも教えてもらえるものという依存心の高い受講者が集まってしまったりするなど、「何を学ぶか」と「どう学ぶか」の関係が適切でないケースが増えているのではないでしょうか。

あらためて見てみると、「何を学ぶか」と「どう学ぶか」の関係は、教える側、教わる側ともによく考えなければならない、重要なことではないかと思います。

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