ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」が、来年1月までに24時間営業をやめることを決めたというニュースがありました。早朝や深夜の営業短縮も進めていて、定休日の導入も検討していくそうです。百貨店やスーパーなどでは定休日の復活が進みつつありますが、外食業界ではまだめずらしいことのようです。
その理由はいくつかあるようですが、最も大きいのは、人手不足で賃金が上がっているために、深夜営業での売上が、コストに見合わなくなってきているということのようです。
さらに、営業時間で無理をすると従業員に長時間労働を強いてしまうこと、生活習慣の変化で深夜の利用客自体が減っていることなども挙げられています。
最近、このことに関連した記事を読んでいて、過剰なサービスが、働く側でもある自分たちの首を絞めているのではないかと書かれたものをいくつか目にしました。
指摘されていたものを見ると、例えば宅配便の無料の再配達や、細かな時間指定のサービスなどは、便利であることには違いないものの、配達する側の人たちには多くの負担を強いることになっています。
さらに、指定した時間にもかかわらず在宅していなかったり、ドライバーへの直通電話を使って「今すぐ届けろ」などと無理強いをしたり、わがままの度合いが増していることもあるようです。こういう負担は、直接顧客に接する末端の社員たちばかりにしわ寄せが行きます。
インターネットによる飲食店情報サービスの普及で、お店などの検索や予約は便利になったものの、その一方でドタキャンのような話も増えているようです。キャンセル料も取れずにお店側の負担となることがほとんどでしょうが、そのマイナスは結局お店で働く人たちの生活にも及びます。
似たような経験は、私も新卒採用の説明会予約でしたことがあります。あっという間に予約が埋まって満席なのに、直前のドタキャンで参加者は定員の半分くらいしかいなかったなどということがありました。
とりあえず予約をキープして、直前に行くか行かないかの判断をするのでしょうが、これは会社側の担当者がそれに振り回されるだけでなく、参加したい他の学生から権利を奪っていることになります。周りにいる仲間の“誰か”を困らせているかもしれません。
以前、過剰包装が問題になったことがありましたが、一時期ほどではないにしろ、今でも野菜や果物は細かく袋づめされていますし、パン屋さんなどでは商品を一つ一つビニール袋に入れてくれ、さらに手提げの袋にまとめてくれます。日本人の潔癖さに合わせると、そうせざるを得ないのかもしれませんが、他の国の様子と比較するとやり過ぎな感じは否めません。
消費者としては、安価で良質なものを求めるのは当然ですが、働く側からすれば、自分たちの扱う商品やサービスが、できるだけ高く売れるに越したことはありません。
そこには「適正価格」があるはずですが、物やサービスが売れづらくなっている中では価格は低下傾向になり、働く人の報酬には当然マイナス方向に作用します。
俗に言うデフレということですが、このように、物を売る側と買う側、サービスを提供する側とされる側、みんな裏と表でつながっています。過剰品質も過剰サービスも、便利な一方で働く側の自分たちを苦しめている側面があります。
24時間営業見直しの話は、そもそも人手不足から始まった経済合理性に基づく判断なのかもしれませんが、私はこの裏と表のバランスを取ろうという動きについては、肯定的に捉えています。
そして、これからもこういう動きは業界問わずに広がっていくだろうと思っています。この流れを見誤ると、いつの間にか「自社で働いてくれる人が誰もいなくなっていた」などということになりかねません。
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