サッカー日本代表のハリルホジッチ監督が、ワールドカップ2ヶ月前という直前の時期にも関わらず解任されました。
選手とのコミュニケーションと信頼関係が薄れてきたのが理由とのことです。
今回の件については賛否両論いろいろで、 確かに直近の試合は結果も内容も良いとは言えませんが、では全然ダメかというと私はそこまでとは思えず、短期間で帳尻を合わせることに長けた経歴からしても、なぜ今なのかという感想はあります。それでも解任に踏み切ったのは、周りから見ているだけではわからない、チーム内部で何かがあってのことだと思います。
「コミュニケーション不足」というのは、企業の中でも常に起こり、問題とされていることです。今回の件でサッカー協会会長が記者会見で語った「コミュニケーション不足」という解任理由は、決して歯切れが良い内容ではありませんでしたが、これは組織がうまくいかない理由をコミュニケーション不足に求めたときには、だいたいがこんな感じになります。
本来コミュニケーションというのは、相互の関係の中でおこなわれることで、それがうまくいかないのは当然両方に問題があります。当事者もそのことは大体わかっていますが、これを実際に解決しようとすると、コミュニケーション不足の中心にいる誰かが責任を負わされることがなぜか多くなります。
「あの人が話を聞かない」「あの人がきちんと伝えない」「あの人の言い方が悪い」など、誰かの振る舞いが問題視され、それがすべての原因のように扱われてしまい、その人を異分子として排除するような結論になりがちなのです。
今回の歯切れの悪い記者会見も、「コミュニケーション不足」についての本音を言いすぎると、限りなく個人の過去の言動や行動の非をあげつらうことになり、個人攻撃につながってしまうことを避けたという側面があるでしょう。
確かに「コミュニケーション不足」がチームの機能を滞らせることはありますが、それは誰か個人の問題というより、仕組みの問題や情報共有の場の問題、チーム全員のコミュニケーション能力の問題や環境の問題、その他多岐に渡る問題がからみ合って起こります。
しかし、実際に行なわれる解決策は、コミュニケーションを取りにくい誰か、みんなが扱いにくい誰かがやり玉に挙がって排除される形になりがちです。企業でもそういう人材の配置転換や異動で対処していることが多いです。
ただ、それでは話しやすい、気が合う者同士をかためたからコミュニケーションがとりやすくなっただけで、本当の意味での解決にはなっていません。人間の組み合わせが変われば、また元に戻ってしまうこともあり得ます。
「コミュニケーション不足」というのは、つい誰かのせいになりがちで、それは本当の解決にはつながらないということを、意識しておかなければなりません。
「コミュニケーション不足」は、関係する人たちみんなの責任です。
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