4月から新入社員が入社して、今は研修真っ盛りという会社も多いと思います。
新入社員によく言われる言葉として「とりあえず3年は勤めてみること」というものがあります。
「最低でも3年は勤務しないと何も仕事は身につかないから、自分の価値も上がらない」「3年くらいは経験してみないと、本当の自分の適性は判断できない」「すぐ辞めるのはキャリアに傷がつくだけ」など、そのデメリットが強調されます。
確かにそういう面はありますし、私も安易に辞めてしまうことはお勧めしません。しかし、最近の状況でいえば、必ずしもこのデメリットが当てはまらないことがたくさんあります。
例えば、入社して数年間というのは、社内的な仕事の進め方を知ることや、社内の人間関係を作ることに費やされる時間が多いです。これらは他社への応用が利きづらい社内価値です。まったく意味がないことはありませんが、その会社に居続けない限り、その経験を長く続けてしまうほど自分の価値は上がらず、キャリアの傷は深まります。
ある記事に書かれていたことですが、新卒で入社した会社があまりにひどいパワハラ体質でその理不尽さに耐えられず、1年経たずに辞める決断をしたとき、その人は「すぐに辞めたというデメリット」「スキルが何も身についていない」など、新たな就職活動が苦戦することを覚悟したそうです。給料が下がることも仕方がないと思っていました。
しかし実際に活動してみると、応募可能な会社はたくさんあり、面接で退職理由を話すと「早く辞めて良かったね」と同情されるなど、不利を感じることはなかったそうです。
転職はうまくいき、その会社ではパワハラなどは当然なく、きちんと残業代は支払われ、人間関係も良好だそうで、さらに給料も前職より上がったということです。そして、これが特別な例かというとそんなことはなく、最近は同じような境遇での転職で良い結果になった人が大勢いるとのことでした。
この記事では、「とりあえず3年」という話は、実はブラック企業が自分の会社に社員をつなぎ留めるために言っていることが多いとしていました。
私自身も以前は「とりあえず3年は辞めない方がいい」という話を、新入社員や若手の社員にしていました。実際に短期間での転職を重ねて、その度に給料が下がっていくような人も見ていました。
ただ最近は、安易に辞めるのは良くないが、得るものがない、合わない、無駄などと思ったら、3年という期間にとらわれずに判断することも必要だという話をしています。実際に「人を育てる意識が希薄」「生産性が低いことを当たり前のように続けている」「若手はいつまでも下働き」「同じことだけの繰り返し」など、経験を積むに値しない会社があるからです。
また、経験を積まなければ身につかない仕事がある一方、それとは無関係に「過剰な上下関係の会社」「強制が多い会社」の方が、「とりあえず3年」を強調している傾向は確かにあります。
「とりあえず3年」は、正しいとも正しくないとも言えますが、社員に不誠実な会社が言うその言葉に意味のないことは間違いありません。
これからの少子高齢化で人手不足の時代には、社員の働く環境に配慮し、個人のキャリアに寄り添うことができる会社でなければ、優秀な人材どころか、社員になろうという人すら集まってこなくなります。働く人がいない会社はなくなる以外に道はありません。ブラックといわれるような会社は、結局淘汰されていくでしょう。
そうならないように、特にこれからは「とりあえず3年」などといわなくても人が定着するような会社を作っていかなければなりません。
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