2013年11月22日金曜日

「評価段階の数」を議論した時の話


会社での人事評価の方法で、よくあるのは「5段階評価」ですが、会社によってその考え方は無限にあり、各社が工夫をしながらやっています。

例えば、
●何でも標準、普通、まん中と評価しがちなので、それをさせないために4段階評価(または6段階評価)
●標準、普通と評価される人数が多いが、その中には良い普通と悪い普通があるから、それを分けて全部で7段階評価
●評価段階の境目に近い人に損得が出るから100点満点の点数制(要するに100段階評価)

など、内容はいろいろですが、その多くは、一般的な評価誤差としていわれる「寛大化傾向(評価全般が甘くなる傾向)」「中心化傾向(何でも中心に評価して差をつけない傾向)」を改善しようと考えています。

ではそれが効果的なのでしょうか?
これは私が経験した例ですが、ある会社でまん中を無くす4段階評価を導入したところ、評価平均が上がってしまう「評価のインフレ化」が起こってしまいました。今までまん中についていた人の評価が、上にシフトしてしまったということです。
それではダメだということで、様々な指導や通達をしたところ、今度は評価平均が下の段階にシフト。結局評価がしにくいという話になって、もともとやっていた5段階評価に戻したということがありました。

他の例でも、変えてみたが思ったような評価分布にはならず、結局元に戻したり、さらに試行錯誤を続けたり、ということが多かったです。
あくまで私の経験の範囲なので、参考程度に捉えて頂ければと思いますが、私自身は、「結局どれも大差ないし、画期的な効果もない」と考えています。なので、私が人事制度構築をする際には、一般的な「5段階評価」とすることが多いです。

評価結果の偏りというのは、基本的に「評価基準のあいまいさ」「評価者のスキル不足」「部下の仕事内容やパフォーマンスの理解不足」などが原因で起こります。これを放置したまま、評価段階の数で分布を操作しようとしても、結局裏読みのばかし合いのようになってしまいます。

評価誤差の中には、結果ありきで考える「逆算化傾向」というものがありますが、こんなことも含めて、小手先の制度の操作ではあまり効果がないということでしょう。

・・・ということで、ありきたりの結論ではありますが、起こっている現象についての原因をしっかり把握し、その原因に見合った対処を制度と運用の両面から行うことが大切だということです。
“評価段階の数”の議論も必要なことではありますが、小手先の駆け引きにならないように、くれぐれもご注意ください。


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