2018年3月12日月曜日

「退職」より「卒業」がなじむ時代になってきた



ビジネスパーソンの間で、転職などで会社を辞める際に、「退職」ではなく「卒業」と言う人が増えているという記事がありました。

「卒業」という言い方は、リクルートグループが先駆けでかなり前から使っていましたが、同社は将来の独立や転職を前提に入社する新卒者が比較的多く、実際にも何年か働いた後に辞めていく人がかなりいることから、辞めた後もつながりを大事にすることの表現として、大学が卒業生との関係を大切にするのと同じ意味合いで、退職者ではなく卒業生と言っていたようです。これがいろいろなところに広まって、最近はこういう表現をする人が増えているとのことです。

私はこの「卒業」という言い方が増えているのは、いろいろな意味で良いことだと思っています。それは本当の意味での円満退職を意味していると思うからです。
私が以前所属していた会社も、退職者との関係を継続することを良しとしている会社でした。全部が全部とはいきませんが、辞めた人が転職した先の会社と仕事の取引をしたり、出戻り社員が何人もいたりしましたので、今のような流れを先取りしていたと言っても良いでしょう。
そういう場所にいた者としての感想は、「それがデメリットになることは何一つなかった」ということです。良い関係が継続すれば良いことしかないのは当然のことでしょう。
私自身もこういう環境の中に長くいたので、すぐに縁を切るとか、裏切り者扱いをするようなことで人間関係を区別するのは、全くメリットがないことを知っているのでやりません。そのおかげで得をしたことは、本当に今までたくさんあります。

ただ、こういう感覚が理解できない会社が多いのも、また事実であることは間違いありません。
ある知人の会社は、社員への思い入れが強い裏返しなのか、辞めていく人に対する「裏切り者扱い」が、かなり強かったところがあります。社長がそういう考えの人だったからというのが一番ですが、退職者のほとんどが同業他社への転職で、今までと近しい仕事をしていることを考えると、感情的に縁を切るのはずいぶんもったいないことをしていたと思います。
そうやって、敵か味方かというような姿勢で人間関係を切り分けていると、周りにいる人たちは少しずつ数が減っていきます。やはり損することしかありません。

私は「退職」を「卒業」と表現するのは、これからもつながっていたいという意思表示でもあり、さらに円満な退職だという意味でも良いことだと思っています。仕事上の人的なネットワークは、広ければ広いほどメリットが大きくなります。すぐに縁を切るような話は、決して良いことではありません。
そういう考え方が理解され、それがなじむ時代にようやくなってきたことを感じています。


0 件のコメント:

コメントを投稿