2018年3月26日月曜日

相談してきたはずなのに聞く気がない社長の話


コンサルタントは、依頼された会社の問題解決を支援する訳ですが、特に私の場合はその会社の人と役割分担をして、チームとして一緒に活動することが多いです。

中には丸投げですべてのことをやってほしいといわれる場合もありますが、やはりその会社の人が主体となって、自分たちで考えながら物事を進めなければ、なかなか課題解決には至りません。
ですから、私が企業支援をするときには、課題解決に向けたアイデア出しやアドバイスはもちろん、現場に入って実行も支援するなど、できるだけ多くのノウハウを伝えて、最終的には自社内でも対応できるようにすることを目標にします。
その結果として、ものすごく長いお付き合いになることもそうでないこともありますが、当事者意識が高くて私とも対等な立場で自ら動く姿勢がある会社ほど、課題解決は進みやすくなります。医者がどんな素晴らしい治療をしても、患者本人の生活習慣が変わらなければ病気は治らないことと似ています。

また、丸投げとは正反対に、何でも自分の思うとおりに動くことを要求されることもあります。私たちは社外の専門家として仕事を発注される側なので、発注元の要望に応えるのが当然という考え方はありますが、それでは丸投げの場合と同じく、なかなか課題解決に至りません。

これはもう何年も前のことですが、その頃にお会いしたある会社の社長がそういう人でした。知人を介して紹介された人でしたが、とにかく自分の一方的な問題把握と、自分が考えている解決策を延々と説明し、暗に自分が言った通りに動くことを要求してきます。こちらはいちおう相談したいことがあるというので訪ねていますが、相談は何一つなく、こちらからの話もほとんど聞いていません。

私の経験では、こういう場合のほぼすべて、この社長自身の姿勢や態度が一番根本的な問題であったりします。ですから、社長の意見は聞きながらも、社員からの情報を得る機会を作り、より良い方法を社長や関係者の納得を得ながら進めていきます。

しかしこの時は、とにかく社長がこちらの話を一切聞きません。何か他の考え方やアドバイス的な話をしても、「それはできない」「それはもうやったが効果がなかった」など、完全否定ばかりです。
これは私の想像が入りますが、たぶん辞めてしまうのか距離を取られてしまうのか、社内に自分の意図をくんで動く人材がおらず、それを社外に求めようとしての相談という話だったのではないかということです。発注側と受注側の仕事の関係になれば、自分の依頼通りに動くと思ったのではないでしょうか。

この時は、私から「ご自身にも問題があるかもしれないという意識がなければ、解決することは難しい」ということをはっきり申し上げ、それ以上の話を進めることはしませんでした。その後音沙汰がなかったので、他の誰かを探したか、あきらめたのか、単に気分を害したのかはわかりません。

この話はかなり極端な例ですが、ここまでではなくても似たような話は意外に数多くあるものです。ほとんどの相手は話をすればそれなりに理解して頂けますし、そこからはパートナーとして、きちんと話し合いながら物事を進めることができます。

「相談」といいながら話を聞かないのは、こちらとすればすべて丸投げで依存されること以上に問題です。
やはり同じチームのパートナー同士として、一緒に課題に向き合うことが問題解決に向けて一番望ましいのは間違いありません。もちろんいちいち指示されなくても適切に行動するのは、専門家として当然のことです。そうやって社外人材をうまく使ってもらえると有り難いと思っています。

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